「大企業だから」「中小企業だから」を越えた考え方を

収入や貯蓄の差だけを見ると、「大企業に勤めている方が断然うらやましい」との見方をする人もいるかもしれませんが、前出の「総務省統計局 家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 年報 7.世帯主の勤め先企業規模別」に記載された「持家率」について見てみると、中小企業就業者世帯が80.9%に対し、大企業就業者世帯は82.8%と、大差がない結果となりました。

また、「世帯主の配偶者のうち女の有業率」つまり、夫婦共稼ぎかどうかという調査についても、前者57.5%、後者54.6%とそれほど差が出ていませんでした。これらの結果から、企業規模に関係なく、日常生活の諸経費の見直しや適切な節約、そして効果的な貯蓄方法を選択することが、「人生の安定感」につながっていくといえるでしょう。

また、金銭面だけではなく、自分が与えられたポジションにやりがいや価値を見出して仕事の充実度を上げていくことや、健康管理に十分な注意を払っていくことも、心豊かに社会生活を送る要素なのかもしれません。

こんな時代だからこそ、お金と丁寧に向き合いながら、毎日を何ごともなく過ごせることに幸せを感じながら暮らしたいですね。

貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【参照】
総務省統計局「家計調査」(貯蓄・負債編 二人以上の世帯 年報 7.世帯主の勤め先企業規模別)
国税庁長官官房企画課 「民間給与実態調査」企業規模別の平均給与
中小企業庁 FAQ「中小企業の定義について
明治安田生命「じぶんの積立

佐和山 薫