「物盗られ妄想」が現れた時にすべき4つの対応

1. まずは話を聞いて「共感」する

認知症の人が「財布がない!」などと騒ぎだしたら、しっかり話を聞いて、「それは大変だね」「困ったね」などと共感しましょう。

話を聞くときは、腕を組んだり、上から見下ろしたりせず、本人の目線に合わせることも大切です。話を聞いてもらい、共感してもらうだけでも、安心して少し落ち着きを取り戻してくれることがあります。

反対に、「なくなるわけないでしょう!」「自分でどこかにしまったんでしょう!」などと本人を否定する言葉をかけるのは、NGです。

ここで否定されてしまうと、本人は「お前が盗んだんだろう!」というように反発し、疑いの目を向けたり、暴力につながったりする可能性があります。

まずは、本人の言動を否定せず、困っていることに耳を傾け、共感する姿勢を見せましょう。

2.一緒に探す

共感をしたあとは、なくなったものを一緒に探しましょう。

一緒に探してくれるというだけで、認知症の人には「見つかるかもしれない」という安心感が生まれます。

介護者が先に見つけるのも悪くはないのですが、あまりに早く見つけてしまうと、本人の自尊心を傷つける可能性があります。

「お前がそこに隠したんじゃないのか」という新たな疑いをかけられることもあるため、先に見つけた場合は、「この辺は探した?」などと声をかけて誘導し、「本人」に見つけてもらうことをおすすめします。

本人は、大切なものがないことを本気で心配しています。介護者も探すときは、適当に探すのではなく、一生懸命探している姿を見せなくてはなりません。

3.見つかったら一緒に喜ぶ

探しものが見つかったら、「見つかって良かった~」「安心したね!」などと、本人と一緒に喜びましょう。「やっぱりあったじゃない!」などと声をかけるのは、NGです。

最後に、本人を否定してしまえば、不信感が生まれ、さらに疑いの目を向けられたり、泥棒扱いされたりすることもあります。

本人の、「見つかった」「嬉しい」という安心感や喜びに寄り添ってあげることが大切です。

4.どうしても見つからないときは、話題を変えてみる

探している対象が、何年も前のものであったり、見つからなかったりする場合は、「疲れたね。少し休憩しようか!」などと声をかけ、お茶を飲んで話題を変えることも1つの対応方法です。休憩している間に落ち着きを取り戻す場合もあります。

どうしても落ち着かない場合や、家族を疑って興奮しているときは、家族が近くにいることが余計に興奮状態を強めていることも考えられます。本人から見えないところや、離れたところから見守るなどの対応を取ることで、少しずつ落ち着きを取り戻すこともあります。