「物盗られ妄想」を起こりにくくするには?

普段から、片付ける場所を決めておく

「物盗られ妄想」が頻繫に現れるのであれば、普段から、タンスや物入れなどにシールを貼るなどして、どこに何が入っているのかが、一目でわかるような工夫をしましょう。

シールなどを貼ることで、本人がものを片付けるときにも、一定の決まった場所に入れられるようになります。

探しているものの場所がすぐにわかるように「見える化」できていれば、本人も安心して生活を送ることができ、「物盗られ妄想」は徐々に減っていくことが期待できます。

コミュニケーションをとる機会を増やす

普段から、本人と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

「物盗られ妄想」は、さびしい気持ちから起こることもあります。そのため、落ち着いている時間に本人の話をゆっくり聞いてあげる機会を設けたり、悩みや不安を受け止めてあげたりすることで、症状が落ち着くこともあります。

本人の「困り感」に寄り添う

「物盗られ妄想」は、頭ごなしに否定しないことが重要です。

最初に否定してしまえば、そこからは「お前が盗んだ」などと責め立てられたり、落ち着きがなくなったりするだけです。

認知症だということは関係なく、自分も大切なものがなくなったときは同じように不安になることを思い出し、丁寧に対応しましょう。また、事前に「物盗られ妄想」を防ぐ対策をおこなうことも大切です。

ものがしまってある場所を「見える化」しておくことや、日ごろから上手にコミュニケーションをとっていくことは、認知症の人たちの不安を和らげることにつながります。

事前の対策や、症状が出た時の対応がどうしてもうまくいかないときは、早めにケアマネジャーや医師に相談し、何らかのサポートを受けることをおすすめします。

本人の「困り感」に寄り添う介護の一助となればと思います。

鈴木 咲季