加えて、経常収支の違いも無視できません。日本は経常収支が黒字で、巨額の対外純資産を持っていますから、政府は国債を日本人投資家に買ってもらえば十分であり、外国人投資家に日本国債を買ってもらう必要はありません。

しかし、ギリシャは経常収支が赤字で対外純資産もマイナスですから、国全体として外国から借金をせざるを得ず、従って政府も外国人に国債を買ってもらわなくてはなりません。外国人投資家は、国内投資家以上に不安定ですから、ギリシャ政府の資金繰りも大変不安定だと言えるでしょう。

余談ですが、将来日本が経常収支赤字になり、対外純資産がマイナスになるようなことになれば、日本政府が破産する可能性は一気に高まります。国内投資家の資金だけでは足りないわけですが、外国人投資家に頼るのは容易なことではないからです。

外国人投資家にとっては「日本政府は借金が巨額で信用リスクが大きい上に、日本円の資産には為替リスクもある」わけですから、外国人投資家はよほど高い金利を払わないと日本国債を買ってくれないでしょうし、逃げ足も速いでしょう。

まあ、経常収支等の現状を考えると日本の対外純資産がマイナスになることは想像しにくいので、過度な懸念は不要でしょうが。

万が一の場合の対策が採り得る

ギリシャ政府は、財政赤字が巨額であるため増税を強いられ、景気が悪化しました。さらに増税する必要があったのですが、そうすると暴動が激化するので増税できず、結局財政が破綻したわけです。

日本で同じことが起きた場合でも、日本は単一通貨を用いていないので、採り得る手段が多数ありますから、財政が破綻することはないでしょう。