具体的には、2017年10月以降、モザンビーク北部で活動を活発化させるイスラム過激派が国境を越えてタンザニアに浸透する脅威だった。

また、この過激派は現在ISCAPの傘下に組み込まれており、イスラム教徒が多数を占める東部ザンジバル島などで若者をリクルートし、同国で勢力を拡大する恐れも指摘した。

また、昨年11月、在タンザニア米国大使館は、最大の都市ダルエスサラームで外国人観光客を狙ったテロの恐れがあるとして、米国人に対して注意喚起を出した。

同大使館はテロが起こる場所や日時など具体的な情報を入手しているわけではないが、ダルエスサラームのマサキ地区(Masaki)の外国人観光客が集まるホテルやレストラン、マサニ半島(Msasani Peninsula)にあるショッピングセンター(Slipways shopping center)が攻撃の対象になる恐れを指摘した。

この時、在タンザニア米国大使館が注意喚起を出した理由は明らかになっていないが、モザンビーク北部で活動をエスカレートさせるIS系組織の動向に警戒を強めた可能性もある。

日本のメディア・外務省以外からも情報収集を

タンザニアにおいては今後のテロ情勢が懸念されるが、国を問わず、テロに遭わないためにはまず情報収集を徹底することが重要である。

しかし日本のテレビや新聞、日本外務省から発信される情報だけでは現地のテロ情勢を把握できない場合も多い。現地メディアや米国・英国の外務省、また専門的な研究機関から発信される情報を入手することも危機管理の観点からは重要である。

和田 大樹