「うつ状態」から退職へ

当時、ヒトミさんの会社でのポジションは「課長代理」。直属の上司に介護休業を取らせてもらえないか相談した。「ダメなら介護休暇でもいいです」

上司の答えは「ノー」だった。

「そのとき母を施設に預けることも考えたんですが、即入居可能な有料老人ホームの場合、母の資産状態では難しかった…。かといって、「特養」は倍率高いでしょ。

それ以上に、母には、最後まで自宅で暮らして欲しい」という気持ちが強まってきたんですよね。たった一人の家族なので…」

仕事と介護の両立に悩んだヒトミさんは、ストレスからうつ状態に。

「夜中の排泄の失敗を繰り返す母。仕事のプレッシャー。不眠と不安からうつ状態になりました。ある日、『このままだと母に手をあげてしまうかもしれない…』という思いが頭をよぎり、会社を辞めると決めました」

同僚や友人からは、
「もったいない!あと3年粘れば退職金満額なのに…」「お母さん、どこかに預けられないの?」「妹さん近所にいるでしょ?一人で抱える必要ないのに」

といわれたが、ヒトミさんの「介護退職」の決心は揺るがなかったという。