父の死を境に始まった、「おひとりさま介護」の孤独

「私が一緒に住んでいたら、お父さんをこんな状態で死なせることはなかった!」

父の突然の死で憔悴するヒトミさんに、葬儀の席で妹が放った言葉は“エグかった”。

手は出さないがクチは出す、というアレだ。とはいえ、葬儀後の段取りや手続きで頭がいっぱいだったヒトミさんには、その場で反論するエネルギーはもはや残っていない。自分の味方をしてくれるはずの母は、すでに認知症がかなり進んでおり、連れ合いが亡くなったことすら、うまく把握できていないようだった。

「私は完全にひとりなんだ」

ヒトミさんは、これまでに味わったことがない孤独を感じたという。

「遺品整理で見つかった衝撃の“念書”」

母の世話をしながら行う死後の手続き。会社の慶弔休暇なんて足りなかったから、有給休暇を消化していった。当然、妹からは手伝いの申し出はなく、ヒトミさん自身も、妹に頼むつもりはなかった。

そんなある日、父の遺品整理をしていたヒトミさんは、衝撃的なものを見つけることになる。

父の筆跡で「遺言」と書かれた封筒だ。

「自分たち夫婦が亡くなったあと、自宅の不動産は孫二人に相続させる」

自宅とは、ヒトミさんが両親二人と暮らしてきた家のこと。妹が父を言いくるめて書かせたに違いない。捺印もなく走り書きに近いこの「遺言」には法的な効力はなく、ただの「念書」に過ぎない。とはいえ、これで今後の妹の「出方」は想像にたやすい。