国税庁「平成30年民間給与実態統計調査結果」によると日本人の平均年収は441万円でした。
一般的にみると年収が高ければ、貯蓄も高くなるだろうと思うのが当然といえるでしょう。
では本当に年収が高ければ貯蓄も高くなるのでしょうか。
年収が多ければ貯蓄が多いのは本当か
総務省の2020年7月公表の「家計調査 貯蓄・負債編(二人以上の世帯)」を参照しながら、年収ごとの貯蓄額を確認してみましょう。
まずは日本人の平均年収と言われる400万円台から見ていきましょう。
ここでの貯蓄額には現金としての預貯金の他、生命保険や有価証券などの金融商品も含まれています。
年収400~450万円世帯
平均貯蓄額:1660万円
その内訳はどうでしょうか。
内訳
- 通貨性預貯金:422万円
- 定期性預貯金:612万円
- 生命保険など:341万円
- 有価証券:274万円
- 金融機関外:12万円
年収450~500万円世帯
平均貯蓄額:1579万円
内訳
- 通貨性預貯金:486万円
- 定期性預貯金:552万円
- 生命保険など:294万円
- 有価証券:240万円
- 金融機関外:6万円
年収500~550万円世帯
平均貯蓄額:1429万円
内訳
- 通貨性預貯金:451万円
- 定期性預貯金:458万円
- 生命保険など:314万円
- 有価証券:202万円
- 金融機関外:5万円
年収550~600万円世帯
平均貯蓄額:1831万円
内訳
- 通貨性預貯金:569万円
- 定期性預貯金:533万円
- 生命保険など:409万円
- 有価証券:276万円
- 金融機関外:43万円
あくまで平均値であるため、貯蓄が多い方の影響を受けてしまうことがありますが、ここまで見てきただけでも、年収が高くなれば貯蓄が多いかというとそうではないことが分かります。
特に年収400~450万円世帯と年収500~550万円世帯では年収に100万円の開きがありますが、貯蓄は年収400~450万円世帯の方が多くなっています。
年収600万円と1000万円はどちらが貯蓄上手か
それではここからは年収600万円以上の世帯の貯蓄額をみていきましょう。
年収600万円世帯といえば、平均年収441万円よりも高く、高所得世帯ともいえます。
年収600~650万円世帯
平均貯蓄額:1599万円
内訳
- 通貨性預貯金:407万円
- 定期性預貯金:612万円
- 生命保険など:325万円
- 有価証券:225万円
- 金融機関外:30万円
年収650~700万円世帯
平均貯蓄額:1716万円
内訳
- 通貨性預貯金:507万円
- 定期性預貯金:530万円
- 生命保険など:428万円
- 有価証券:229万円
- 金融機関外:22万円
年収700~750万円世帯
平均貯蓄額:1642万円
内訳
- 通貨性預貯金:473万円
- 定期性預貯金:666万円
- 生命保険など:337万円
- 有価証券:134万円
- 金融機関外:32万円
年収750~800万円世帯
平均貯蓄額:1635万円
内訳
- 通貨性預貯金:503万円
- 定期性預貯金:566万円
- 生命保険など:323万円
- 有価証券:193万円
- 金融機関外:50万円
年収800~900万円世帯
平均貯蓄額:1630万円
内訳
- 通貨性預貯金:485万円
- 定期性預貯金:509万円
- 生命保険など:371万円
- 有価証券:206万円
- 金融機関外:58万円
年収900~1000万円世帯
平均貯蓄額:2023万円
内訳
- 通貨性預貯金:686万円
- 定期性預貯金:613万円
- 生命保険など:402万円
- 有価証券:235万円
- 金融機関外:86万円
年収1000~1250万円世帯
平均貯蓄額:2101万円
内訳
- 通貨性預貯金:662万円
- 定期性預貯金:597万円
- 生命保険など:473万円
- 有価証券:283万円
- 金融機関外:86万円
年収が高くなるほど確かに貯蓄額としては多くなっています。ただし年収に対しての貯蓄割合で見てみるとどうでしょうか。
年収600~650万円世帯では平均貯蓄額が1599万円で年収に対する貯蓄割合は2.5倍です(平均の年収625万円で計算)。
これに対して年収1000~1250万円世帯では平均貯蓄額が2101万円で年収に対しての貯蓄割合は約1.9倍です。(平均の年収1125万円で計算)
こうしてみると、年収が高いから貯蓄も高いわけではなさそうです。
年収が上がれば生活水準も上がり、支出も多くなるということではないでしょうか。
年収が高くても注意したい老後の生活費
さて、年収の高さは貯蓄に比例しないことが分かりましたが、すべての方に共通することがありました。
それは金融資産の保有率です。
日本人は預貯金や保険を好むと言われますが、その通りで貯蓄額のほとんどが預貯金と保険になっています。
昨年話題となった「老後2000万円問題」は老後年金収入の他にざっくりと2000万円が足りなくなるというものでしたが、この金額にはゆとりある老後生活費や介護費用は含まれていません。
年収が高い方は尚更、老後になってから今の生活水準を下げることは難しいはずです。もしものときの備えは多いに越したことはないということです。
誰もが意識すべき資産運用
人生100年時代と言われ、老後生活は長くなっています。
いつどんなことが起きても対応できるようにするには、自分が働いてお金を増やすことだけでは限界があります。
日本人にはまだ馴染みのない資産運用ですが、今後は資産運用と上手く付き合っていく必要がありそうです。
ただし運用と聞くとまとまったお金を預けて、短期間で大きな利益を出そうと思われている方も少なくありません。
ハイリスクハイリターンであり短期間で利益を出すものは資産運用とは言えません。どちらかといえばギャンブルに近いものです。
なるべくリスクを抑えながら、自分の負担も軽くするためには毎月のつみたて投資がおすすめです。運用期間が長ければ長いほどリターンも安定するといわれていますので、ぜひ気づいたときから早めに始めることが成功への近道です。
iDeCoやつみたてNISAとは何か
資産運用の初心者の方には国の制度をつかった資産運用にチャレンジしていただくと良いでしょう。
税制のメリットを享受しながら、資産運用をすることが出来ます。
最近よく耳にしたり目にしたりする機会も多いのが、「iDeCo」や「つみたてNISA」というワードではないでしょうか。
どちらも国の制度ですが、「iDeCo」は自分の年金を自分で準備するための制度です。
一方で「つみたてNISA」は長期の資産形成をするための制度です。
どちらもメリットがある反面、デメリットもありますので自分の目的に合致しているかはよく検討していただくことをおすすめします。
またお金のアドバイザーに頼るという方法もあります。
商品ありきでおすすめされるという話もよく聞きますが、それぞれ目的や希望によってその方に合う金融商品は変わります。
目的や希望を丁寧に聞いてくれるようなアドバイザーを見つけられると良いでしょう。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。
年収が高いといって安心せず、長い老後に向けて工夫してお金を増やしていけるといいですね。
