「やめたのは会社勤務」老後を見据えて脱サラした40代夫婦
そんななか、老後を見据えて行動を起こしたUさん夫婦の話を伺いました。
Uさん(夫・48歳)は長らく外食産業に従事し、大手チェーン店舗の料理長という役職を担っていました。月収は50万円ほどあり、業界内では恵まれた立場にあったそうです。しかし、数年前に退職。今は妻と二人で、小さなラーメン店を経営しています。
「雇われ料理長では長く働けず、退職金も期待できません。精神的にもきびしくなってきましたし、さらに50過ぎて仕事を失って、そこから再スタートするのも難しい。だったら体力があるうちに、小さくてもいいから年をとっても長く続けられる自分の店を持ちたかったんです」
今はコロナ禍もありそれほど収入も高くなく、個人経営ゆえの不安定さもありますが、Uさんの妻も「体が壊れたら働けないのは前も今も同じ。でも自分たちの基盤があるとないとでは大違い。できれば、60過ぎても夫婦で働いていけたら」と語ります。
このように、老後を見据えて脱サラするケースは近年見受けられますが、リスクを伴うことも忘れてはいけません。個人事業主になると厚生年金の対象から外れることになります。
また、Uさんには長年の調理経験や経営ノウハウがありますが、一般的に飲食店の経営継続は簡単とはいえないのが事実。日本政策金融公庫が2011年開業の3,046社を対象に実施した「新規開業パネル調査(業種別廃業状況)」によると、5年間の廃業率平均が10.2%であるのに対し、飲食店・宿泊業の廃業率は全業種トップの18.9%にのぼり、決して楽な道ではないことが分かります。
状況に応じて法人化や税制対策など自分たちで担うことも増えるため、より一層計画性をもって取り組むことが大切になるでしょう。