今は残業が多いと怒られるとか、残業が多い部下がいると上司が改善報告書を出さなければならないなどのルールがある会社も少なくありません。Aさんの言う通り、時間をかけて成果を出すことができた時代をいいと思うか、成果を出しさえできれば残業する必要のない時代をいいと思うかは人それぞれでしょう。

Aさんも「今の自分があるのはあの頃のおかげだと思っているけれど、決して今の人にあのやり方は勧めない。あの頃には犠牲も多かった」と苦笑いしていました。

大学で研究に没頭した経験

IT関連企業で役員として働く50代のBさんは、「大学で仲間と研究に没頭した経験が自分の人生を大きく変えたと思う」と話します。

「正直言って、小学生から高校生まで挫折を味わうことがほとんどなかった。ところが、大学では自分よりはるかに優秀な人間がたくさんいて、挫折というよりも焦燥感と絶望で頭がおかしくなりそうだった」のだそう。Bさんの出身大学は超有名大学。そんな中で「優秀だった自分」が「平凡な自分」になっていくのを感じたと言います。

そこで、「自分よりもはるかに優秀で志も高い人間を見て、『オレは何をやってるんだ。コイツよりも勉強しないと差が広がるばかりだ』と気持ちを切り替えた。すると好奇心が体の奥底から湧き出てくるような気持ちになり、毎日研究室に行くのが楽しい。深夜まで実験するのも楽しい。徹夜でも楽しい。そんな日々の経験が今の自分を作ったと思う」と話します。