子どもは希望の大学に行くも、自分たちの生活は…

続いては、関東近郊に住む60代のBさんです。「子どもたちは東京でうまくやっているようだけれど、自分たちの生活には不安しかない」と話します。

Bさんには息子さんと娘さんの2人のお子さんがいます。息子さんは文系の私大に、娘さんは私大の薬学部に進学しました。「子どもたちの教育資金を貯めるのは苦ではなかった。子どもたちの希望通り、何の心配もなく進学できるようにしてあげるのが親の務めだと思っていた」と話すBさんですが、大学進学にあたっては2人とも奨学金を借りてもらったと言います。

「関東の田舎だから夫の給与水準も高くない。親の収入と貯金だけでは十分ではないと判断して奨学金を借りてもらった。親の収入のせいで子どもに負債を背負わせるのは心苦しく、卒業後は親が返済をすると約束して息子と娘にそれぞれ奨学金を借りてもらった」とBさん。さらに、離れて暮らす息子さんには生活費の仕送りをしていたと言います。

「学業の妨げになるようなアルバイトもやめるように言っていた。せっかく大学に行ったのにアルバイトに明け暮れている親戚の子どもを見て、『あれじゃ大学に行った意味がないよね』と夫婦で話していたのを思い出す。親戚への見栄もあったのかもしれないけれど、うちの子にはアルバイトは自分のお小遣い程度にさせていた」と続けるBさん。

「長男は塾講師のアルバイトをしていたけれど、週1、2日程度だったから、生活費は仕送りで賄っていたと思う。娘は実家から通っていたけれど授業が忙しすぎて、アルバイトどころではないと言っていたから、お小遣いを渡していた。結局、老後の資金なんてほとんど貯まらないうえに、2人が借りた奨学金の返済がまだ続いている」と言います。