娘さんそれぞれに学資保険を契約し、銀行預金と併用して教育資金を貯めていたというAさん。長女は関西の理系私大に進学し、その2年後に次女が東京の公立大学に進学。長女はそのまま就職したものの、次女が大学院へ進学したいと言い、状況が変わったのだと言います。

「正直、教育資金は尽きていたけれど、老後資金にとかろうじで貯めていた貯金を切り崩して次女の大学院進学をサポートした。当時、夫が奨学金の利用に反対だったから、奨学金の利用はなし。そこで貯金をほぼ使い果たすことになってしまった」と話してくれました。

その頃Aさん夫婦は50代。「夫の仕事も給料は上がったものの、途中で私の健康面の問題で正社員の仕事を辞め、パートで週4日の仕事に変更。それもあって思うようにお金が貯まらず、今は老後が心配でたまらない」と言うAさん。

「娘に迷惑をかけたくないから、年を取ったら2人で老人ホームに入ろうと夫と話していたけれど、老人ホームもびっくりするくらい入居費用がかかる。とても今の貯金では無理だし、そうなると介護が必要になったときには娘に頼るしかない。でも、娘は2人とも大学で家を離れてから私たちを煙たがるようになって、すっかり疎遠になっている。次女に至っては年末年始にも顔を出さない」と嘆いていました。

老人ホームの入居費用は、40代後半からようやく老後資金を貯め始めたというAさん夫婦にとってはかなり難しい出費になるでしょう。子どもの希望を叶えるのも大事ですが、子どもたちにもアルバイトをしてもらったり、奨学金を借りてもらったりして、ある程度親の負担を軽減することも必要ではないでしょうか。