「ジョブ型雇用」とは?

一方、「ジョブ型雇用」は、いわば業務を進めるために必要な人材が採用されるスタイルです。

募集の際にはどのような業務にあたるかが職務記述書として明確に提示されます。役職や人数など組織構成の都合ではなく、進めるべき業務を基準にして必要なスキルを持つ人材が集められるのです。採用時のマッチ度は、職務記述書に記載された内容で測られます。

「ジョブ型雇用」では給与も年齢や職歴を問わず、その会社でどの業務を担うかに連動します。職務記述書に照らして成果を見れば明白、労使で判断がずれることも少ないでしょう。

個々の能力やパフォーマンスがさらに問われる雇用環境となりますが、世界的にはすでにスタンダードな雇用スタイルとなっています。

コロナ禍を経験した日本企業の多くが、今まで以上に成果を求めなければ生き残れない危機的状況を迎えました。これが、このジョブ型雇用への移行がさらに進むきっかけとなったのです。

働く環境の変換期、何を求めて働くの?

Unipos(株)が、「ジョブ型雇用への移行に伴う組織課題」(全国の上場企業に勤務する20~59歳の男女1,032名が対象)についての意識調査を2020年2月に実施しました。(※)

「会社に大切にされていると感じるのはどのようなときですか?」という質問に対し、もっとも多い回答は「成果をあげた仕事について感謝された時(493票/1,032名の一般社員)」でした。続くのは、「ちょっとした貢献にも周囲から過程、努力を認められた時(450票)」です。

この調査は、同一労働同一賃金が施行される直前に行われたものですが(中小企業は2021年4月から適用)、この時点ですでに、企業と従業員の関係性の希薄化が懸念点として挙がっていました。

同一労働同一賃金の適用により広がる「ジョブ型雇用」は、懸念の元となる要素をはらみやすいようです。上記の意向を満たせるような、「働きがい(やりがい)」を感じることにつながる取り組みが、人材流出回避の糸口になるのかもしれません。

やりがい搾取には要注意!

自分自身が仕事にやりがいを感じることは充実にもつながり、モチベーションも保ちやすくなります。

ただ、その「やりがい」を都合よく利用され、支払われるべき報酬が得られないという事態に陥らないように注意しなければなりません。