「やりがい搾取」されてない?
仕事に対してのやりがいや充実感を、雇用主などに不当に利用され、報酬以上の仕事(長時間労働など)を求められることを「やりがい搾取」といいます。教育社会学者の本田由紀氏により生み出され、広く知られるようになりました。
たとえば、自分の趣味を仕事にしている人。好きで、面白い仕事をして賃金をもらうのだからあまりわがままはいえないと考えがちのようです。意見をすれば仕事がなくなるかも……という不安もあるでしょう。
責任感の強い人は、「ほかの人も自分と同じ立場なのだから、自分も我慢しなければ……」と思って頑張りすぎることも。自分が仕事を休んだり、辞めたりすると周りに迷惑がかかると考えてやりがい搾取から抜け出せなくなることも多いようです。
自分で何かおかしいと気づいても「やりがい」とのジレンマが働きます。体調不良に陥る可能性もあり、精神的にも大きな負担がともなうでしょう。転職活動をしたくても長時間労働がその時間を与えてくれません。
大切なことは、搾取に嵌まらないよう、自分の働き方を客観視することです。自分の心身の健康に不調が生じてからでは、やりがい搾取から逃げることが難しくなります。
労働環境に疑問を感じたら一人で抱え込まずに、公的機関や弁護士など、やりがい搾取に関して知識がある人に相談することも頭に入れておくと良いかもしれません。現在の労働状況を相談すれば解決に向かうきっかけが掴めることもあります。
まとめ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でテレワークが増えたという人も多いでしょう。
自宅での仕事は休憩を取ることを忘れやすいですし、残業の届出も遠慮がちになることがあるかもしれません。気づかぬうちにやりがい搾取を受ける結果とならないよう、自分の働く環境を振り返っておくことをおすすめします。
参考
(※)「ジョブ型雇用への移行に伴う組織課題」に関する意識調査 Unipos株式会社
池田 蒼