低金利が高級車と住宅需要に影響

住宅や高級車の需要が高まる背景には「低金利」の影響もあります。低金利は消費者の購買意欲をそそります。

日本は長いことマイナス金利政策が続いていますので、今更金利の影響は関係ないようですが、他国では中央銀行が政策金利を平均して2ポイントほど引き下げているということです。

それにより、例えばアメリカでは、30年固定金利住宅ローンが2020年初めには年利3.7%だったのですが、現在では2.9%まで下がったそうです(※2)。いずれはマイホームを、と考えていた中間層のミレニアル世代にとっては絶好のチャンスといえるでしょう。

自動車長期ローンの金利も同様に下がっていますので、欲しかった高額な車を比較的少ない利息で購入できることになります。また、もともと大きなピックアップトラックやSUVは人気がありましたが、価格だけでなく、ガソリン代もかかってしまうことで諦める人もいました。しかし2020年はガソリン価格が下がっていることも大きめの車が売れる要因の1つだといえそうです。

コロナ不況で一番先にダメージを受けたのは低所得層でした。しかし、今まで普通に安定した生活をしていた中間層の人達さえも、突然の失業で路頭に迷うケースも増えてしまいました。一方、同じ中間層でも仕事が安定していることで、低金利の恩恵を受け、もっと広い家や高級車を…と高額の買い物ができる人も少なくないということなのでしょう。

このようにコロナ不況によって中間層という一番大きな層の中で明暗が分かれることになってしまいました。今後、経済格差はますます深刻になりそうです。

参考

(※1)WSJ “U.S. Existing-Home Sales Rose Nearly 25% in July”
(※2)The Economist “Why, despite the coronavirus pandemic, house prices continue to rise”
(※3)「令和2年都道府県地価調査の概要」国土交通省
(※4)「中古車・登録者合計」日本自動車販売協会連合会
(※5)WSJ “Car Sales Are Down Almost 20%, but Prices Are Setting Records”

美紀 ブライト