コロナ禍で景気が悪いのに株価は堅調。なぜこんなことが起きる?

新しいワクチンが開発されそうだ、ということで株価が上がる日がありますが、新しいワクチンが開発されたからと言って、短期間で新型コロナ前の経済に戻るわけでもないでしょうから、新型コロナ前の株価に戻っている(米国等は超えている)のは不思議なことです。

金融が緩和されると美人投票で株価が上がる

株価は美人投票で決まる面が大きいので、多くの市場参加者が注目している金融政策によって大きく動きます。黒田日銀総裁による大胆な金融緩和によって株価が大きく上昇した経緯については前回の拙稿『「黒田緩和」で株価が上がった不思議〜投資家は何を信じたのか?』に詳述した通りです。

筆者はもともと景気の予想屋だったので、金融政策には余り興味がありませんでした。特に、ゼロ金利下での緩和で設備投資等が増えるとは思われないからです。そこで、金融市場の参加者が金融政策に強い関心を持っている理由が理解できませんでした。

しかし、後で気づいたのは、金融市場の参加者の多くが金融政策に興味を持っているため、金融政策が美人投票によって株価に大きな影響を与えるのだということ、それゆえに一層多くの金融市場参加者が金融政策に興味を持たざるを得ないのだ、ということです。

同じく経済を見ていても、違う世界の人々は違う見方をしているのだ、ということですね。この辺りのことについては、拙稿『エコノミストとマーケット・エコノミストの違いを考える』を併せてご参照いただければ幸いです。

実体経済と株価は違う世界なので、違う原理で違う動きをすることは不思議ではありません。もっとも、あまりに乖離が大きくなるとバブルが疑われるようになりますが、現状がバブルであるのか否かについては、次回改めて論じることにします。

参考記事

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執筆者
塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。【近著】なんだ、そうなのか! 経済入門』『老後破産しないためのお金の教科書』『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由【雑誌寄稿等】Facebook、NewsPicks、アメブロ等にて適宜ご紹介