9月にアメリカで発売され話題となっている『The Psychology of money(仮題:お金の心理学)』という本についてウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が取り上げていました(※1)。
ベンチャーキャピタリストで行動ファイナンスのコラム二ストとして知られる同書の著者、モーガン・ハウゼル氏は「投資家に対し、お金と富が何のためにあるのかを考えるよう勧めている」と述べています。
今回は金持ちとは?裕福とは?ハウゼル氏の意見を参考に考えてみます。
金持ちが裕福とはかぎらない
WSJによると、ハウゼル氏は「多くの金持ちは裕福ではない」と主張しているとのことです。なぜなら、お金持ちは、どれだけお金を持っているか他人に見せるため「大金をつかわなければならないと感じている」からだと。
またハウゼル氏は「『金持ちであること』(現在の収入が多いこと)と『裕福であること』(金を使わないことを選択する自由があること)を明確に区別している」といいます。
裕福であるということは、他人にどう見られるかはあまり構わない。それよりも、自分の時間の使い方をコントロールすることにお金を使えることだと、WSJはまとめています。
同書には興味深い極端な例が挙げられています。
- ある男性は学歴もなく低収入の職に就いているが、節約しながら株に投資し、その株を長い間持ち続け、92歳で亡くなった時には600万ドル以上の財産を残しました。そして慈善団体に寄付したそうです。
一方、
- 金貨を石の代わりに太平洋に投げ、水切りをして遊んでは金持ちぶりを周りに見せつけていたテクノロジー業界で成功したある富豪は、結局破産したのだそうです。
ここでハウゼル氏が言いたいことは、いくら今、高収入だからといっても、他人に見せびらかすために大金を無意味に使っていたら一時的な金持ちにしかなれない。逆に低収入でも、身の丈をわきまえ、辛抱強く少額の投資や貯蓄をしていれば、時間とともに富は築けるのだということなのでしょう。