エゴか未来への投資か

ハウゼル氏は、CNBCに寄稿した記事(※2)のなかでも「後で後悔しないように」と、特に若い世代に向けた富を築くコツ、「裕福」になるアドバイスをしています。

それによれば、ハウゼル氏は、必要以上にお金を使うのはエゴと成り上がりの結果だといいます。貯蓄(投資)するとは、現在の地位を誇張するよりも、将来のためにより意義のあることにお金を使うことだ、と説明しています。

まさに前述の例でみたように、身の丈以上の「高級住宅地」というブランドを選んだ親のエゴが、最終的には子どもに留学を諦めさせることにつながったのではないでしょうか。

またハウゼル氏は、無名でも、手頃で効率の良いサービス(やモノ)を選ぶことは賢い選択だともいいます。あのビル・ゲイツ氏も、機能性を重視した数千円の腕時計をつけていると話題になりました(※3)

ウォーレン・バフェット氏も、彼の莫大な資産からみるとかなり質素な家に長年住み続けていますし、何件も別荘を持つようなことはしていません。スーツも無名の中国製だと、以前どこかのインタビューで話していました。それで十分満足しているからでしょう。

ゲイツ氏もバフェット氏ももはや他人に富を見せびらかす必要などありませんが、彼らは元々、他人にどう見られるかなどには興味はないのです。根っからの「裕福体質」なのでしょう。

特にバフェット氏は子どもの頃から、お金を使うことより働いては投資や貯金をし、時間がお金を増やしていくことの楽しみを知っていたのです。

どうお金を使うかは個人の価値観によるものでしょう。今の一時的なエゴを満たすか。時間をかけて富を増やし将来より多くの選択肢をもって裕福になるか。選択するのはいつも自分です。

参考

(※1)『「金持ち」と「裕福」の違い 成功する投資哲学とは』WSJ
(※2)CNBC“Follow these 5 money rules while you’re still young—or ‘regret it later in life,’ says finance expert”
(※3)「7600円から300万円まで、世界的企業のCEOの時計を拝見」BUSINESS INSIDER

参考図書

Morgan Housel ”The Psychology of Money: Timeless lessons on wealth, greed, and happiness” Harriman House(2020/9/8)

美紀 ブライト