年収1,000万円は損をしやすい?

高給取りであるというイメージが強い年収1,000万円世帯。しかし、実際は損をしやすいことも多いようです。また年収1,000万円世帯といっても、「世帯主が1人で1,000万円稼ぐ」のと「夫婦で1,000万円稼ぐ」のでは税率などの割合が変わってくるため、今回は「世帯主が1人で1,000万円稼ぐ」家庭をメインに考えてみましょう。

【1】 所得税を多くとられてしまう

世帯主1人が1,000万円稼いでいる家庭は、共働きの1,000万円世帯よりも所得税の負担が多くなります。所得税は家族構成などで変化しますが、仮に同じ4人家族であるとしたとき、世帯主が1人で1,000万円稼いでいる家庭の所得税は約68万円。夫婦が500万円ずつ稼いでいる世帯ではそれぞれに約14万ずつ所得税がかかり、合計約28万円。所得税だけで年間38万円の差が出てしまうのです。

【2】 児童手当が対象外

児童手当とは中学卒業までの子どもを養育している世帯を対象に、年齢や子どもの数によって1万円~1万5,000円が支給される制度です。しかし、この児童手当には所得制限が課されています。

内閣府のリーフレット「児童手当制度のご案内」によると扶養親族2~3人(子ども1~2人・専業主婦の妻)世帯の場合、年収が1,000万円をこえると対象外となり、月額5,000円の特例給付に変わってしまうのです。1万5,000円受け取っている世帯と比べると、子ども1人あたり年間12万円もの差になります。

【3】 高校無償化の対象外

令和2年4月よりスタートした「私立高校授業料の実質無料化制度」。これは国公私立を問わず、高等学校に通う子をもつ世帯に支援金が出る制度ですが、対象となるのは中学生1人・高校生1人いる家庭で年収910万円が目安です。年収1,000万円の世帯では、この制度も対象外となってしまいます。

このように、一種のステータスでもある「年収1,000万円」は、税金や支援金制度でもライン上となりやすく、負担が多くなる傾向にあります。しかし、基本的には手取りが年収1,000万円以下の世帯と逆転することはありません。それでも生活の苦しさを感じる理由のひとつに、消費に関する意識の違いがあるようです。