「老後の生活費は年金だけで大丈夫」とは言い切れない時代になりました。安心して老後を迎えるためには、十分なお金の備えをしておく必要があります。
「リタイヤ後までにいくら備えておけばよいのか、具体的なイメージが掴めていない」というケースも珍しくないでしょう。調査結果に触れながら、みんなの老後のお金事情についてみていきたいと思います。
2020年に還暦を迎えた人たちの「お金事情」
2019年、金融庁の報告書から端を発した「老後2,000万円問題」がまだ記憶に新しいという人、結構いるのではないでしょうか。「老後の生活に、公的年金以外に必要となる金額は2,000万円」とするものです。この金額をリタイヤまでの貯蓄目標とした、という声もありそうです。
では、まさに今、老後資金の金銭問題に直面している世代の貯蓄額は、この金額に到達しているのでしょうか。
ここで、PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)が2020年6月に実施した「2020年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」についてみていきましょう。この調査は2020年に還暦を迎える1960年生まれの男女各1000人を対象に、インターネット上で行ったものです。
この調査の結果、「現段階の貯蓄金額(配偶者がいる場合は夫婦2人分)」の平均額は3,078万円となりました。2019年の2,956万円と比較すると、122万円アップしています。
しかし、回答の内訳をみると「100万円未満」(20.8%)が最も多く、貯蓄額が2,000万円に満たない還暦人の割合は64.8%となっています。そのため、平均額だけで「ほとんどの人が2000万円というラインを超えている」と判断することはできません。
また、「ひと月あたりに必要だと思う金額(配偶者がいる場合は夫婦2人分)」における「ゆとりのある生活を送るために必要な金額」の平均額は28万8,399円でした。「生活費として最低限必要な金額」の平均額である19万9,710円と比べると、約9万円の差があります。