安楽死の実施だけでなく、飼い主の気持ちをおもんばかるのも、獣医さんの仕事です。最近よく聞かれる「ペットロス」に陥らないよう、安楽死の過程の最初から最後まで、飼い主の気持ちに寄り添うよう努めます。

愛する動物のために

クマちゃんの話をしてくれた時、Aさんの目からは涙がポロポロとこぼれ落ちました。愛するペットに、軽々しく安楽死を選んだわけではないことは明らかでした。

それでも、Aさんは安楽死を後悔しているのではないと言い切ります。しゃべれない動物が言いたいだろうと、また考えているだろうと想像し、人間の自分勝手を捨て去ったところ、現れたのが安楽死だったと言います。

ペットの安楽死は決して安直な考えの先にあるものではありません。飼い主の精神的負担も悲しみも、自然死でペットを亡くした時同様……いやそれよりさらに深いものと、筆者は受け止めています。

クローディアー 真理