ニュージーランドの街角を歩いていると、自由気ままに歩き回る猫や、オーナーと散歩している犬によく出会います。犬猫や小鳥、熱帯魚などペットを飼育する世帯は全世帯の64%に上り、1%の僅差で65%の米国に及ばず、世界第2位となっています※。

飼い始めは動物たちが幼いことも多く、元気で個性的でかわいくて……とメロメロになるものです。「いったん飼い始めたら、最期まで面倒を見る」という飼い主の責任がありますが、まだまだ先のことと忘れがちです。

ですが、命あるものには必ず死という別れがやって来ます。最愛の犬や猫などがもし天寿を全うするのではなかったら? 私たちが、子ども代わりともいえる動物の最期を決めなくてはならないのだったら?

安楽死を選ぶこともあるニュージーランドの飼い主たちの心中はどのようなものなのでしょうか。

※『Companion Animals in New Zealand 2016』(The New Zealand Companion Animal Council Inc.)

余命3カ月と告げられた「クマ」ちゃん

ニュージーランドではペットの安楽死について、日本より比較的多く耳にします。

家庭で飼われている動物のうちのどの程度に安楽死がもたらされているのかははっきりしません。が、暮らしていてペットを飼う人と動物の話をしていると、日本ではほぼ聞くことがなかった「ペットの安楽死」が自然に話題に上ることもしばしばです。辛いことですが、それだけ身近なのだということがわかります。