安倍首相が辞任を発表した。そのニュースは国内だけでなく、世界各国でも速報で流れた。安倍首相は先進国や周辺諸国の指導者の中でも“ベテラン”で、辞任に伴い各国からも高く評価するコメントが次々に寄せられた。

外交・安全保障の分野では安定していた安倍政権

この7年8カ月の政権運営をどう評価するかは人によって違うところだろう。しかし、少なくとも、外交・安全保障の分野においては極めて安定した運営だったと思う。

特に、トランプ政権下での日米同盟では、安倍首相は実に上手くトランプ大統領を引き付けた。

4年前の米大統領選の時、ヒラリー・クリントン氏有利とされるなか、日本では「トランプ大統領になったら日米同盟は大丈夫か?」と懸念する声が広がっていた。

しかし、安倍首相はゴルフという共通の趣味もフルに活用し、4年間で何回も日米首脳会談を重ね、今ではトランプ大統領にとって最も親しい外交フレンドになっている。

確かに、国際協調主義からの撤退、移民・難民への対応、イランへの過剰な強硬姿勢など、オバマ政権の理念に逆行するトランプ大統領のやり方には同意できない部分も多い。

しかし、その中でも安倍政権は日本の国益を第一に、トランプ政権と良い関係を維持することに徹した。本来であれば、日本の外交ビジョンと相容れないのかも知れないが、外交の世界では戦略的に行動しなければならない時も多い。