例えば、ベジタリアンになるには案外贅沢なことなのです。アメリカには「食品砂漠」といわれるエリアに住む低所得層が多くいます。新鮮な食料品が売っている店がなく、ファーストフードや安い添加物ばかりの食品しか手に入らないのです。

そのため、新鮮な野菜やオーガニック食品など手の届かないモノとなっています。低所得者層ほど肥満も多く、糖尿病など慢性病が蔓延しているのがその証拠です。

その一方で、富裕層は健康維持の為の食事、ヨガやエクササイズなどのフィットネス、予防医学など基本的な事のみならず、贅沢なスパやウェルネスツーリズム、健康的な家づくりやインテリアまで、とことんウェルネスを意識することがステータスシンボルのようになっています。

The Global Wellness Instituteのマックグロウリティー氏は、「COVID-19 以前、ウェルネス産業は富裕層をターゲットにした短絡的なビジネス展開に偏り過ぎているという批判を受けていた」と話しています(※2)。しかしCOVID-19 により、人々の健康的な生活への意識がさらに広まり、誰にでも手の届くようなサービスへの見直しが迫られるようになりました。

COVID-19感染予防として、対面サービスが提供できなくなった企業が苦肉の策としてフィットネスや予防医学のサービスのオンライン化を強化したのです。これが結果的に、ウェルネスの大衆化につながり不平等の縮小となっています。企業側も顧客の幅を広げることに成功しているようです。