トランプ米大統領は今月15日、対イラン武器禁輸を延長する国連安保理決議案が否決されたことを受け、2015年のイラン核合意で解除された国連制裁を再発動させる意思を表明し、依然としてイランへの強硬姿勢を堅持している。
親イラン武装勢力による米への攻撃が多発
今年初め、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が殺害されたことがきっかけで、米イランの軍事的緊張が一気に高まった。その後、軍事的緊張は回避され、それ以降、世界はCOVID-19との戦いの時代に突入し、米イラン対立が報道される機会は激減した。
しかし、米イラン対立の最前線であるイラクでは、親イランのシーア派武装勢力による米国権益を狙った攻撃が断続的に続いている。2月には、首都バグダッドにある米国大使館付近とイラク軍基地にロケット弾4発が撃ち込まれ、うち2発が米国大使館の敷地内に着弾した。
続く3月には、バグダッド北郊にある米軍駐留基地にロケット弾15発以上が撃ち込まれ、米国人2人と英国人1人が死亡、12人が負傷し、「Nujaba Movement」を名乗るシーア派武装勢力が米軍への攻撃を続けるという声明を出した。
また、6月1日から28日までの間に、イラク国内ではイスラム国やシーア派武装勢力による攻撃が59件発生したとされ、首都バグダッドで確認された10件のうち8件がシーア派武装勢力による攻撃だったという。
秋の米大統領選でバイデン氏が勝利したら?
しかし、米国のイランへの強硬姿勢は、秋の米大統領選で変わる可能性がある。現在、バイデン氏がトランプ大統領を支持率でリードする展開となっているが、仮にバイデン氏が勝利すればこの4年間のイラン政策は大きく変わる可能性が高い。