派手さはなかった公務員生活

Yさんの発言にムッとした表情のTさん。二人きりになると、Tさんはぽつりと本音を漏らしたといいます。

「夫は景気がいいときも悪いときも同じように仕事をしてきた。自営業の彼女が接待といいながら自分も飲食を楽しんでいるときだって、夫は公平な仕事をするためにそういうものとは一切縁のない生活を送ってきたの。急な異動や転勤で子供だって転校をしたこともあった。終電ばかりで体調が心配なことだってあったし、公務員というだけで「楽」だったなんてどうしていえるのかしら」

Tさんの言葉に、Eさん自身もどこか民間企業よりのんびりした風土を想像していたことに気が付きハッとしたそうです。Tさんから若いころ転勤の連続だったこと、周りが家を建てる中いつも官舎で暮らしてきたことなど話に聞いていたはずなのに、どこかで「退職金もたくさんもらえるんだし、それくらい」という意識があったかもしれない、と思ったそうです。