エピソード2:Dさんの場合

「自粛警察ママ」

「Cさんと距離を置くようになってしばらくしたころ、今度は新型コロナの感染拡大のニュースが舞い込んできました。幼稚園も休園になってしまい、私たちは主にグループLINEで連絡を取り合うようになっていました。

すると今度は、Dさんに距離を置きたいと思うようなことが起こったんです。もともと正義感が強く、仕切りたがりな性格で、しっかり者の姉御肌という感じの女性だったのですが、新型コロナがきっかけで、その正義感がおかしな方向に走り出したんです。

たとえば、帰省したことで親族が感染したというニュースについて、誰かが触れると、『なぜ帰省したのか、考えなさすぎで信じられない』と言い、自宅前を犬の散歩している人がいると聞けば『今、外出するなんて!』と言ってきます。私自身も日常品の買い物以外は極力外出を控えていましたが、何気なしに『買い物に行った』なんてことを言えば、それすらも『外出したの?!』という返信が…。

何かと攻めるような発言に違和感を覚えはじめたある日、事件は起こりました。日常品を買いに出た日のことです。その際に、少しでも家の中が明るくなれば…と思って、軽い気持ちで、お花を買ったんです。キレイなお花に嬉しくなってSNSにアップしたところ、すぐにDさんから個別LINEが来て『こんなときに花を買いに外出したの?!』『不謹慎極まりない』『あまりにも自分勝手すぎるんじゃない?!』というメッセージが立て続けに送られてきたのです。

まるで監視されているような感じと、自分の正義が絶対というような押し付けに辟易。今にして思えば、あれが『自粛警察』ってやつなんですね。」