助けを求めても、「もう少し頑張ってみましょう」「もっと困った状況になったら相談に来て」などと言われてしまうと、なかなかもう一度声を上げるというのは難しいでしょう。なぜなら、相談に行ったそのときこそが、「本当に大変で、助けてほしい」と強く思っている状況である可能性が非常に高いからです。

「事件を起こした母親が悪い」と責めることは簡単なことです。一方で、子育てや仕事・家事のストレスから精神的に追い詰められるまで我慢を強いている世間の考え方や仕組みもまた、虐待を生み出している原因と言えるのではないでしょうか。

過労から抜け出せないワンオペ育児の日々

シングルマザーの場合、毎日が「ワンオペ育児」です。生活収入は自分だけが頼りなので、毎日、朝から夜まで働いて、帰ってきたら赤ちゃんをお風呂に入れてミルクをあげてオムツを替え、それから自分の食事などを済ませます。

それだけでなく、言葉の通じない赤ちゃんは何かを伝えようと突然に泣き出しますし、日によっては夜中に何度も起きて泣きやまないことも少なくありません。泣き声に対する近所からの苦情に怯える気持ちも大きく、自分で生んだ子を泣き止ませることができない不甲斐なさだけが広がっていきます。

少し落ち着いたかと思えばすぐに調子を崩して保育園にも通えず、仕事にも行けず、いつクビを切られるかもわからない毎日…。

たとえ自分の体調が悪くなったとしても保育園も病院も預かってはくれないから、体調が悪いまま子供と病気をうつし合いして、40%ぐらい体調が回復したら仕事へ行く。そのため、ずっと疲れが取れない状態が続くというのが、筆者も体験した、自分の両親を頼ることができないシングルマザーの日常です。