虐待が起こりやすい養育環境
少し古い資料にはなるものの、平成16年に厚生労働省が発表した「児童虐待死亡事例の検証と今後の虐待防止対策について」を参考に、虐待の起こりやすい要素を探ってみました。
すると、支援が必要となりやすい要素の半数以上を占める養育環境の上位には、ひとり親や内縁関係にある家庭が挙げられ、子連れ再婚もなどもあわせると相当な割合にのぼることがわかります。
こうした調査を見ると、児童虐待死亡事例で大きな割合を占める虐待者には、「未婚を含むシングル経験のある母親」と言えるでしょう。実際、2回の離婚を経験し、合計10年以上ものシングル期間に乳幼児を育てた経験がある筆者からすると、納得のいく調査結果です。
ただ、残酷な虐待により亡くなった子供たちはもちろんのこと、加害者となった母親にも同情の余地があることを伝えたいと思い執筆に至りました。
虐待を止められない世間の意識
日本には「我慢する」ということを美徳とする意識がまだまだ残っています。けれども、支援を必要とするとき、そういった「我慢をする」精神は自分自身を責めることに向い、支援を求めようとする気持ちを折ってしまうことも少なくありません。
加害者となった母親は、事件を起こす前に家族や児童福祉施設に子供のことで相談をしていたり、育児協力者がいないというケースも多いようです。