児童虐待で幼い子供たちが犠牲になったというニュースが流れるたび、「また、母親か…」「実の母親なのに…」「どうして、もっと早く家族・友達といったまわりの人や施設を頼らなかったのか?」という声が多く飛び交います。

そこで今回は、シングルマザー期間が10年以上と長く、周囲にもシングル家庭の多い筆者が、虐待死を招いてしまう環境の現実を伝えたいと思います。

児童虐待の実情

まずは、加害者である虐待者について、また実際の虐待死亡例から虐待の起こりやすい養育環境についての実情をみていきます。

「実母」が約半数を占める児童虐待

厚生労働省が発表している「児童虐待の状況等」の主たる虐待者の推移を見てみると、平成11年から27年までの16年間は、実母が50%以上を占めています。また、平成28年・29年についても50%に近い割合を占めているなど、母親による虐待の深刻さが浮き彫りとなっています。

一方、近年は実父による虐待も40%前後に迫っており、注意が必要な状況です。それに対して養父(実父以外の父)が虐待者として占める割合は平成29年で全体の6%前後と意外に低く、報道される残忍な暴力やネグレクトなどから強く印象に残ることを実感させられます。