ANAは、これまでの報道においては、日本政策投資銀行などに対して約1000億円の借り入れを検討、政府支援を要請し1.3兆円の融資枠確保を推進、従業員2万人を帰休させ、人件費を一部カットなどの施策の話がある。同社は損失軽減策とともに財務内容を補強する動きを見せている。
政府としても、国内トップシェアのANAを破綻させてしまうと国民の生活や経済活動に大きな悪影響が及ぶので、状況次第で経済支援する可能性は高いとみている。
一方のJALも実質無借金であるものの、あくまで有利子負債で見た場合である。今後、新型コロナウイルスの影響が長引く可能性もあり、予断を許さない。
株価をどう見るのか
エアライン株の見方について、ここまで見てきた内容をまとめてみたい。
- 新型コロナウイルスの感染がいつ終息するかわからず、航空会社の業績見通しは軟調かつ不透明
- 財務の短期的安全性は大きく懸念される
- 海外では破綻する航空会社が出てきており、今後もリスク回避は強まりそう
こういった状況の中、今後も両社の株価は悪材料出尽くしとはならずに、注意が必要といえる。
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石津 大希
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)に入社し、現在はコンテンツ編成本部マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
最終更新日:2024/09/04