豪州航空2位のヴァージン・オーストラリアは4月21日、日本でいうところの民事再生法適用申請である任意管理手続きを行ったと発表。その後、米投資会社が経営権を取得する見通しとなっている。
米国では、破綻までは至っていないものの、アメリカン航空やデルタ航空、ユナイテッド航空などの大手の財務懸念が強まる中で政府は資金援助を開始。このように、世界的に航空業界は危機に立たされている。
大手2社の株価は"4~5割"下落
こうした状況下、株価は当然軟調となっている。2019年末の状況と現在の状況を比較してみよう。
ANAの株価は2019年12月終値では3642円。一方、7月28日終値では2283.5円と比較すると4割近い下落となる。
JALについても同様で、2019年12月終値は3397円であったものが、7月28日終値では1845円と、4割超下落している。
TOPIXは2019年12月終値の1691.15に対して7月28日の終値は1569.12であり、7%程度の下落率にとどまっていることを考えても、やはり2社に対する投資家の警戒感は強い。
以下、ANAとJALの財務などに触れながら、株価の動向について考える。
ANAとJALの財務安全性は?
新型コロナウイルスの感染がいつ終息するのか不透明な中では航空会社の売上高動向は大変予想しづらく、投資家としても長期的予想をベースに株価を評価することは困難だと考えられる。確実にいえることは、短期的な業績動向は非常に厳しいということくらいか。
執筆者
1991年生まれ。新潟県新潟市出身。2022年に株式会社モニクル傘下の株式会社ナビゲータープラットフォームに入社し、現在はメディア事業部・メディアグロース企画推進室マネージャー。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」を中心に、多くの読者の方に幅広いコンテンツを届けるための戦略立案に従事している。
それ以前は、LIMO編集部にてアシスタント・コンテンツマネージャー(ACM)として従事。第一報として報道されるニュースを深堀りし、読者の方が企業財務や金融に対する知的好奇心を満たしたり、客観的データや事実に基づく判断を身に付けられたりできる内容の記事を積極的に発信していた。
入社以前は、株式会社フィスコにて客員アナリストとして約20社を担当し、アナリストレポートを多数執筆。また、営業担当として、IRツール(アナリストレポート、統合報告書、ESGレポートなど)やバーチャル株主総会サービス、株主優待電子化サービスなどもセールス。加えて、財務アドバイザーとしてM&Aや資金調達を提案したほか、上場企業向けにIR全般にわたるコンサルティングも提供。財務アドバイザリーファームからの業務委託で、数千万~数十億円規模の資金調達支援も多数経験。
株式会社第四銀行(現:株式会社第四北越銀行)、オリックス株式会社でも勤務し、中小・中堅企業向け融資を中心に幅広い金融サービスを営業した。株式会社DZHフィナンシャルリサーチでは、日本株アナリストとして上場企業の決算やM&A、資金調達などのニュースと、それを受けた株価の値動きに関する情報・分析を配信。IPOする企業の事業・財務を分析し、初値の予想などに関するレポートを執筆。ロンドン証券取引所傘下のリフィニティブ向けに、週間・月間レポートで、日本株パートを執筆。経済情報番組「日経CNBC」にて毎月電話出演し、相場や株価の状況も解説していた。
新潟県立新津高等学校を経て、2013年に慶応義塾大学商学部を卒業。学部では、岡本大輔研究会にて企業評価論、計量経営学を専攻していた。
最終更新日:2023/11/03