これを薄いフィルムにしたのがレジ袋です。成型しやすく、軽くて丈夫、水濡れにも強いことから、1970年頃から紙袋に代わって買い物袋として大量に使われてきました。
それでは現在、エチレンはどのように入手しているのでしょうか? 自然界に存在するエチレンを集めているわけではなく、人工的・工業的に造っています。
原油は種々の炭化水素(炭素と水素からできている化合物の総称)の混合物ですが、これを沸点の違いによって分離することが可能で、ナフサ、灯油、軽油、重油などが得られます。ナフサは沸点の低い炭化水素の混合物で、これを精製するとガソリンになりますが、ガソリンも混合物で単一の化合物ではありません。
そして、ナフサをクラッキング(分解)するとエチレンが得られます。エチレンはこうして工業的に大量生産されており、日本はエチレンの輸出国です。これがポリエチレンの原料になります。
ごみとなっているレジ袋
上で述べた通り、ポリエチレンからできているレジ袋は炭化水素ですから、いわば燃料です。よく燃え、完全燃焼すれば二酸化炭素と水になります。この二酸化炭素は地球温暖化への影響が大きいガスです。しかし、レジ袋は家庭の可燃物のごみ袋として使われ、燃やされているのが実情です。
また、ポリエチレンは自然界、たとえば土の中や水中の微生物などで分解されず半永久的に安定なままに残留し、これがごみとなってしまいます。海に流れ、紫外線や波の作用などで微粒子に変化してマイクロプラスチックとなることも、現在、大きな問題になっています。
マイクロプラスチックが魚貝類に入り、食物連鎖によって人間の身体にも侵入することは脅威です。したがって、私たちは、いわゆるプラスチック類の過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。