レジ袋有料化施策に意味はある? プラごみ削減と環境意識の向上につながるのか

日本は1人当たりの使い捨てプラごみの発生量が米国に次いで世界で2番目に多い「プラごみ大国」です。我が国ではプラごみの分別・回収が進んでいるとはいえ、再生樹脂などへのマテリアルリサイクル率は25%です。

その他は、火力発電、RPF(廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料)、セメント燃料などの熱回収率が57%、焼却・埋め立てが18%と、結局75%は焼却されています。焼却すれば、上述のように二酸化炭素が発生します。

問題はそればかりではなく、塩素原子を含んだプラスチック(ラップやパイプ、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン)を焼却することの是非もあります。かつて大きな問題になったダイオキシン類発生の懸念があります。

レジ袋有料化の本当の狙い〜ライフスタイルの転換を

経済産業省のウェブサイトには、レジ袋有料化の目的について、「普段何げなくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとする」と書かれています。レジ袋有料化とプラスチックごみ削減は、あくまで別問題だということでしょう。

変えなければならないのは、プラスチックを使い捨てる習慣そのものです。長いこと当たり前のように続いてきた「大量生産・大量消費・大量廃棄」の悪循環をどこかで断ち切る勇気が必要な気がします。繰り返しになりますが、過剰な使用を抑制し、賢く利用していくことが必要です。

長年染みついた人間のライフスタイル、ものの考え方と言ってもいいでしょうが、これを変えることはなかなか難しいものです。しかし、現在のプラごみ問題を解決するには、小手先の対応では不可能であり、広く人間社会の転換、環境問題への意識向上が不可欠と思います。

災害には、「天災」と「人災」がありますが、もう一つ、文明の進歩による災害「文明災」を忘れてはなりません。プラごみによる環境汚染は、化学の進歩による「文明災」、とりわけ「化学災」と呼んでもいいかもしれません。

人間のライフスタイルを変えることが必要な時代を迎えています。コロナパンデミックを経験している現在、コロナ専門家会議(現在の分科会)が提唱するものとは別の意味での「新しい生活様式」が求められているのではないでしょうか。

和田 眞

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執筆者

徳島大学名誉教授、元副学長(教育担当)・理事。元4大学で非常勤講師。元学童保育支援補助員。現在、東京理科大学非常勤講師、たまプラーザがん哲学外来カフェ代表。青山学院大学理工学部化学科卒業、同修士課程修了。東洋醸造(現、旭化成)研究員、東京大学研究生、東京工業大学助手(理学博士)、米国パデュー大学とカリフォルニア工科大学博士研究員を経て、広島大学助手、講師。徳島大学助教授、教授、総合科学部長、2012年3月定年退職。専門は化学(有機合成化学)。教育、生と死、超高齢多死社会、文明の危機に関する拙文執筆と講演。著書に『定命 父の喪・母の喪―息子が遺してくれた生き直す力―』文芸社。横浜市在住。