従来、「男のプライド」という言葉には「男らしいたくましさ、強さ」というポジティブな意味合いがあった気がします。筆者は昔から「男のプライドはないのか?」などと、人から男らしくあれと奨励されてきたクチです。確かに高度経済成長期においては、家族を経済的に支える大黒柱で、家庭を太い腕で守る頼もしさが求められた時期はあったでしょう。

しかし、昭和から随分時間の経過がありました。現代は「男性らしく、女性らしく」というジェンダーの押し付けが見直されています。新しき令和という時代においては「男のプライドより、自然体」だと思うのです。

「男のプライド」とはなにか?

そもそも、「男のプライド」とは何でしょうか?昭和時代のカッコいい男性像といえば、

  • 寡黙、弱音を吐かず、涙を飲んで耐える
  • 家庭を顧みずに仕事にコミット
  • 仕事はあれこれ浮気せず、1つのビジネスに傾倒
  • 女性や年下には積極的に奢る

こうしたものではないでしょうか。確かに1つの仕事にフルコミットして取り組み、経済的に一家の大黒柱として活躍する姿に頼もしさを感じる人もいるでしょう。特に高度経済成長期には、昨日より今日、今日より明日は今より人口は増えて、経済成長している時代です。がむしゃらに働くことが、高い成果に直結する時代においては「男のプライド」はうまく機能していたものと考えます。

令和に「男のプライド」は必要か?

しかし、今は令和で昭和と大きく時代は変化しました。「男性が稼ぎ、女性が家庭」というモデルは崩れ、共働き世帯は半数以上となり、女性の大学進学率も半数を占めています(※)

このように男女平等が奨励され、変化が速い現代になりました。高度経済成長期では「男のプライド」で気合や根性、長時間労働で困難を切り開くことが出来た場面もあったかもしれませんが、現代はクリエイティビティやテクノロジーの活用が求められるようになり、「男らしさ」で突破できなくなったように感じます。

そうなると、男のプライドは「頼もしい」「カッコいい」というポジティブなものではなく、「対応が面倒くさい」という、ネガティブな印象を持つ人も出てくるようになったのではないかと思うのです。

面倒くさい「男のプライド」

筆者は男性ではありますが、男性のビジネスマンや、知人と付き合って「男のプライドは面倒くさいな」と感じることがあります。昔の知人の一人に、相手の良し悪しを何でも学歴や勤務先、収入の多寡で判断する人がいました。「この人は◯大学だから平均的くらいだろう」「あの大学に行っている割に、思ったほどの大手勤務じゃないな」などというのです。

また、大学時代のクラスメイトにも「自分は人より優れている!」という姿勢が全面に見えるプライドの高い男性がいます。彼と食事に行くと必ず奢ろうとしてくるので、それ自体は悪い印象はありません。しかし、次第に彼はあらかじめ行こうとするお店を必ず確認するようになりました。お店を伝えると「あの店は評判が良くないから、こっちにしよう」と明らかにより値段の安いお店へ行こうと変更を提案されるのです。別に奢ってくれなくていいから、行きたい店へいこうというのですが、プライドの高い彼はそれが許せないようです。

他にも「Aさんはネット広告について、ずば抜けた知識と経験がある」と褒めると、「オレの方がすごい」と言わんばかりに、いかに自分が優れているかPRを始める人もいるのです。

プライドが高すぎる人は、頼もしさより面倒くさいと感じてしまうことも多いと感じます。

プライドより自然体の方が魅力的では?

男性たるもの、時にはカッコつけたくなる時はあるでしょう。たとえばプロポーズの時くらいは多少の背伸びをして、相手を喜ばせたいという気持ちを見せるのはありだと思うのです。

しかし、高すぎるプライドの問題点は、結局は背伸びにすぎないことで「長続きしない」という点にあります。「奢られたくない。自分は常に奢る」という姿勢の人も、最初は気前よく奢っていても、その内に金欠になれば食事にいけなくなる時が来るでしょう。

個人的には「プライドより、自然体」に魅力を感じます。これはプライドの高い男性からはまったく出てこない発想だと思うのですが、たとえば「自分の弱みを見せる」ということには合理的なメリットがあります。

「劣勢にある人が必死に頑張って努力をしている」という構図は応援する人を呼び起こします。これは心理学の世界で「アンダードッグ効果」と呼ばれます。不利な立場の人が一生懸命頑張り、周囲はそれを応援し、そしてゴールに辿り着いた時には大きな感動を呼びます。「オレは強いから人の手は借りない!別に困ってもない!」と突っぱねる人に応援の手はないのです。

また、プライドが高いと本音を言えなくなります。付き合いたての男女カップルや、表面上だけのコミュニケーションだけで済む浅い関係なら、カッコいい演出をした自分を見せるだけでいいかもしれません。しかし、本音を言えないのでは、時間が経過しても深い関係を構築できないと思うのです。

このようにエベレスト山のように、ひたすら高い男のプライドはもう必要のない時代になったと感じます。今は自然体で本音を言える関係の方が長期的な関係を維持することができるのではないでしょうか。

参考

(※)「平成30年(2018年)版 男女共同参画白書(概要版)」男女共同参画局

高級フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」代表 黒坂 岳央