自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害を抱える子どもたちにとって、1年の中でも特に「試練の時」といわれている季節があります。

その季節とは「春」。新しい友人に慣れないクラス、子どもによっては環境の変化についていけず、不登校気味になってしまうケースも少なくありません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で緊急事態宣言が発令され、多くの学校が休校となりました。緊急事態宣言の解除とともに徐々に学校が再開され、6月から通常通りの授業時間になったところも多いと思います。今、「春の試練」と向き合っている子どもたちもいるでしょう。

今回は、ADHDである筆者の息子が「新学期のたびに抱えてしまう問題」に着目しつつ、発達障害を抱える子どもをどのように支えていけばいいのか、発達障害児の1人の母親として、お伝えしていこうと思います。

発達障害児にとって新学期は試練の連続!

発達障害の子どもたちは環境の変化に敏感な子がとても多く、クラス替えや担任が変わる新年度は、1年の中で最も心がざわついている時期といえます。新しい環境が始まっていく時期は、大人の私たちでさえ緊張したりナーバスになったりすることもありますよね。

感情のコントロールが苦手で、環境の変化に対応しにくい子どもたちにとっては、何もかもが新しく感じられる新学期はとくに気持ちが安定しにくいもの。そして現在はCOVID-19の関係で休校や分散登校が続き、ただでさえ気持ちが落ち着かない状況なのです。

我が家の息子はこう荒れる!

ADHDである我が家の息子も例外ではなく、とにかく新しい環境や知らない人とコミュニケーションを取ることが苦手です。慣れてしまえば良好な関係が築けるものの、慣れるまでは「あっち行け!」「うるせー!」などの暴言を吐いてしまうことも少なくありません。

そんな荒々しい性格の息子ですが、毎年4月下旬頃になると決まって「プチ不登校」を繰り返しています。新学期が始まってからしばらくは、「1学年上がった」ことに対する興奮から学校へと向かうのですが、4月下旬になると「学校行かない」とポツリ。

きっと新学期が始まって様々な変化がある中で、息子なりに気を張って頑張っているのでしょう。それがプツンと切れてしまうのが、我が家の場合は毎年4月下旬なのです。

我が家は「プチ不登校」OK!

息子が学校に行きたくないといってきたら、我が家では基本的に息子の気持ちを優先して学校を休ませます。筆者が仕事をセーブして一緒に過ごすことが多いのですが、できるだけ自然に触れてリラックスしたり本を読む時間を作るように意識しています。

すると息子の場合は、1日休むと「明日は学校に行くわ!」と切り替えられることがほとんどです。筆者は「プチ不登校することによって、新学期にざわついた心を整えているのかも」と考えています。

しかしそうはいっても、「1日休ませるとクセになってしまうのではないか」「本格的な不登校につながってしまうのでは?」と不安になる保護者の方も多いでしょう。

筆者もはじめは「できるだけ休ませないように」と息子の尻を叩いてでも学校に向かわせていましたが、それで息子から進んで学校へ向かうようにはなりませんでした。

子どもの「成長力」を信じる

発達障害を抱えていてもいなくても、子どもが成長していく過程では様々なトラブルや問題が発生するものです。そこで大人に何ができるのかというと、個人的には「子ども自身に本来備わっている成長力を信じてあげる」ことだと思っています。

医師・臨床心理士として活動しながら4人の子の父親としても奮闘されている田中茂樹氏によると、生き物には必ず「自分を守る力」が備わっているのだそうです。

自分を守る力とは、言い換えれば「自分自身を幸せにする力」。子どもたちにはその力が既にあると信じ、目の前で起きている反応(例えば不登校や暴言暴力など)だけにとらわれてしまわないように意識してみるのも良いかもしれません。

「学校へ行かない」と子どもが自らの意思で決めたのなら、今はゆっくりとしたり考えたりしてパワーをチャージすることが必要な時期なのかもしれません。身体の中に元気が充電されれば、外へ出て様々な学びを吸収したいと思えるようになるかもしれません。

今こそ「子どもの気持ちに寄り添う」時間を大切に

環境の変化が大きい新学期だからこそ、意識的に子どもの気持ちに寄り添って同調してあげる時間を大切にしています。子どもが学校へ行きたくないといえば、「何がなんでも学校へ行きなさい!」ではなく、「そうなんだ、何か大人に協力できることはない?」などと話し合ってみるのもおすすめです。

仕事を急に休めない場合は、夫や祖父母など周囲の人に相談してみましょう。たとえ子どもの意に沿えなかったとしても、大切なのは「子どものしたいことを叶えてあげようと努力する大人たちの姿勢」です。

子どもは大人たちがどれくらい自分の心に寄り添ってくれるのかを敏感に感じているので、「甘やかしてしまうのではないか」という考えは一旦捨て、ぜひ子どもの感情を共有してみてはいかがでしょうか。

参考

「5.発達障害について」文部科学省

(※)「発達障害」とは、発達障害者支援法によると「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定められています。

参考図書

『子どもを信じること』
著:田中 茂樹
イラスト:岡田 千晶
発売日:2011年9月10日
発行:さいはて社(大隅書店)