計画的な準備が不可欠

この家庭の20年後を想定すると、子どもは20歳になり、親は60歳前後になり退職を迎えています。その親の世代は当時の平均出産年齢からみれば80代後半になります。前述のとおり、教育と退職と介護が一度に圧し掛かってきてもおかしくないわけです。

海外では教育費と介護に挟まれる現役世代を「サンドイッチ世代」と呼んでいますが、日本では長寿化と晩婚化で自身の退職時期にこの2つが重なるようになっているのです。

3つの負担が一度に圧し掛かるとはいえ、いずれの負担も、いつの時代にもどこの国でもあるものです。安易に考えることはできませんが、経済的負担が一度に圧し掛かるからといって慌てる必要もありません。大切なことは、そうした事態に備えて早くから計画的にそれぞれの準備を始めることです。

子どもの教育費への準備は子どもが生まれた時からスタートさせましょう。それぞれの学齢ごとに経済的負担はありますが、それでも最も負担の大きい大学での費用は時間をかけて準備しておきたいところです。

自分たちの親の世代には自分のことはできるだけ自分でカバーするよう早くから話しておくことも大切だと思います。もちろん自分の退職生活に向けた準備も並行して進める必要は言うまでもありません。

母親が35歳以上の新成人の比率 (単位:%)

(出所) 厚生労働省の人口動態統計月報年計「出生数の年次推移、母の年齢(5歳階級)別」

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史