2月は年金される偶数月ですが、先週2月13日に年金支給日がありました。年金を「老後のための貯蓄」のように考えている人も少なくありませんが、実際には社会保険のひとつであり、現役世代も含め全世代に深く関わる制度です。なかでも障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障や制限が生じた場合に支給される重要な保障です。
万が一に備える公的制度として、内容を知っておくことは安心につながります。そこで今回は障害年金について、2026年度4月分から改定される年金受給額や各種手当に加えて、支給件数の状況についてわかりやすく解説します。
1. 障害年金、2026年度の受給額「1級:年105万9120円」←対前年度2万円近くプラス!
障害年金は、加入している年金制度によって「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2階建て構造になっています。令和8年4月分からの改定額を確認しましょう。
障害年金は2階建て2/6
LIMO編集部作成
障害基礎年金の月額は2級が7万608円であるのに対し、1級はその1.25倍にあたる8万8260円(+子の加算)になります。年額にすると1級105万9120円、対前年度で2万円近く上がることになります。
障害厚生年金は「2階建て」の2階部分にあたるため、1級・2級の方は厚生年金に加えて、基礎年金もあわせて受け取れるのが大きな特徴です。
この「1級は2級の1.25倍」という計算式は障害厚生年金(報酬比例部分)にも同様に適用され、さらに配偶者がいる場合の加給年金などが対象となります。
このように1級・2級は基礎と厚生のダブル受給となりますが、障害厚生年金には独自の3級もあり、症状や過去の納付実績に応じたきめ細かな保障となっています。
2. 障害年金、上乗せの給付金「1級:年8万4300円」5つの関連給付金・手当が増額!
2026年度は年金だけでなく、生活を支える「給付金」や各種手当も増額されます。ここでは年金受給者に上乗せされる障害年金生活者支援給付金を含めた5つの関連給付・手当の改定額を解説します。
2.1 「年金に上乗せ」障害年金生活者支援給付金
障害年金生活者支援給付金は、2019年の消費税増税に伴う物価上昇の影響から、生活に特に配慮が必要な方の暮らしを支えるために設けられた制度です。この給付金は、障害基礎年金を受給している方のうち、所得が一定基準以下の方を対象として、通常の年金に上乗せして支給されます。
月額支給額の目安(障害等級別)
- 1級:7025円(対前年度+212円)
- 2級:5620円(対前年度+170円)
2.2 2026年度の月額、障害者などに対する各種手当・給付
年金への「上乗せ」である支援給付金とは異なり、年齢要件や年金受給権の有無など、それぞれ独自の目的と対象が定められている各種手当・給付があります。
特別障害給付金(1級:5万8650円/2級:4万6920円)
国民年金に任意加入していなかった期間に障がいを負い、障害年金を受け取れない人を救済するための制度です。年金受給が前提の支援給付金とは対象が異なります。
特別児童扶養手当(1級:5万8450円/2級:3万8930円)
一定以上の障がいがある20歳未満の子どもを養育する保護者に支給されます。本人の年金受給を支援する給付金とは異なり、家庭への育児支援を目的としています。
特別障害者手当(月額:3万450円)
精神または身体に著しく重度の障がいがあり、在宅で常時の介護を必要とする20歳以上の人が対象です。生活支援給付金とは別の枠組みで支給される福祉手当です。
障害児福祉手当(月額:1万6560円)
日常生活において常時介護を必要とする重度の障がいがある20歳未満の人に支給されます。こちらは児童(20歳未満)を対象とした福祉制度であり、年金制度とは仕組みが異なります。
3. 障害年金、新規と再認定の支給件数「どの障がいが一番多い?」
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が出たときに支給される制度です。障害者手帳を持っていなくても申請可能で身体的な障害だけでなく、以下のような幅広い病気が対象となります。
- 精神・知的障害:統合失調症、うつ病、認知障害、発達障害など
- 外部障害:手足の不自由、眼・耳の障害など
- 内部障害:がん、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、血液疾患など
2025年9月、日本年金機構は「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」を公表しました。支給された中で「どの障がいが多かったのか」診断書種類別の支給件数を確認します。
支給決定の件数で最も割合が高かったのは「精神・知的障害」でした。
- 新規裁定(新たに受給):全体の67.0%(約8.7万件)
- 再認定(更新):全体の79.1%(約24万件)
精神・知的障害分野で新規裁定・再認定ともに多くの支給決定が行われています。障害年金は、障がいのある方の生活を経済的に支える重要な社会保障制度であり、今後も適切な判定と制度運用の充実が期待されます。
4. 障害年金、制度の理解が「安心」につながる
今回は障害年金について、2026年度4月分から改定される年金受給額や各種手当に加えて、支給件数の状況について解説しました。2026年度は障害年金と関連制度が増額され、生活支援の水準が引き上げられました。
対象となる病気は想像以上に幅広いことが特徴です。制度は更新が必要な点にも注意が必要です。支給実態を知ることで身近な制度として理解できます。万が一に備える公的制度として、内容を知っておくことは安心につながります。
参考資料
- 政府広報オンライン「障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患のかたも対象です」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「特別児童扶養手当について」
- 厚生労働省「特別障害者手当について」
- 厚生労働省「障害児福祉手当について」
- 日本年金機構「特別障害給付金制度」
- 日本年金機構「障害年金業務統計(令和6年度決定分)」
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」
筒井 亮鳳