今回は50代の特徴の一つと考えている「トリレンマ」についてまとめます。
長寿化・晩婚化の影響を受けて、子どもの教育費、自身の退職、親の介護の大きな支出が一時期に重なる世代を「トリレンマ世代」(造語)と称して、2010年代前半から警鐘を鳴らしてきました(弊著『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書、2014年) をご参照ください)。
それから10年弱が経過して、この「トリレンマ世代」が50代になっています。
教育費、老後資金、介護費用が一度に圧し掛かるトリレンマ世代
「トリレンマ世代」の特徴は、自身が60歳の退職年齢を迎えた頃に、子どもはまだ大学生で最も教育費のかかる時代になっていて、しかも親の年齢は80代後半で介護の必要性が高い時期に差し掛かっているという点でしょう。
厚生労働省の人口動態統計月報年計の「出生数の年次推移、母の年齢(5歳階級)別」によると、母親が35歳以上の新生児の比率が20%を超えたのが2008年でした。これは新生児の5人に1人の母親が35歳以上ということになります。
夫婦の年齢差を考えると、父親は37-38歳で、そのころの人たちは現在50代になっています。当初は40代の一つの特徴と呼んできましたが、時間の経過とともにこれが50代の特徴の一つといえるようになってきたわけです。
ちなみに、それ以降、この比率は毎年上昇を続けており、直近データの2018年には28.7%にまで高まりました。今や新生児の約3割の母親の年齢が35歳以上ということになります。
年間の出生数が100万人前後ですから、対象となる世帯数は毎年22〜28万世帯です。直近の10年間だけでも累計で200万世帯を超えていることになります。