ゼロ金利が長引くと、預金部門のコストが重くのしかかり続けます。せいぜい「顧客に退職金が振り込まれた時に投資信託の勧誘をすることができる」といったメリットを活かして少しでもコストの回収を試みるしかありませんね。

この点については、拙稿『ゼロ金利でも銀行が預金部門を廃止できない理由』をご参照いただければ幸いです。

新型コロナ不況で不良債権が激増する見込み

今次不況は飲食店等々にとって厳しい資金繰り難となります。政府が様々な支援策を用意していますが、周知徹底の度合いが心配なことと、手続き等に時間がかかることも心配です。

銀行が従来の基準で取引先を評価するとすれば、「到底貸せない先」が著しく増えるでしょうから、倒産の多発は免れないでしょう。倒産しなくても、延滞が多発して銀行の不良債権となるでしょうから、銀行は引当金を積む必要が出てきます。

それにより、銀行の決算は大幅に悪化するでしょう。長期にわたるゼロ成長とゼロ金利でボディブローのように苦しめられてきているところに激烈なパンチを食らった、という感じですね。

金融庁や日銀等々がしっかり見ているでしょうから、銀行が倒産することはないと信じていますが、金融が怖いのは倒産するかもしれないと人々が思うことで取り付け騒ぎが発生しかねないということです。取り付け騒ぎに関しては、次回詳述することにしましょう。