この記事の読みどころ

7月前半の日本株式相場は上昇となりました。日経平均株価は最大で+6.6%上昇しています(6月末比)。

任天堂の株価爆騰に始まった今回の上昇相場は“ポケモノミクス相場”と称されているようですが、参議院選挙後の景気対策、米国の雇用統計、国内の企業決算など複数の材料がポジティブに効いています。

7月後半も材料が目白押しですが、輸出関連企業を中心に非常に厳しいと目されるQ1決算が「悪材料の一旦出尽くし」になるかが焦点です。

7月前半の株式相場の振り返り

6月終盤の歴史的な急落を受けて始まった7月の株式相場は、予想外に大きく動き始める展開となりました。いくつかのイベントを経た結果、相場環境は著しく好転しています。

日経平均株価は6月の急落前を上回る水準へ回復

7月前半の株式相場は大きな変動を見せました。7月の日経平均株価は、6月24日に起きた英EU離脱ショック後の株価戻りの流れを受けて、月初めから続伸で始まりました。しかし、欧州市場の混乱が収まる様子がないことが明らかになると、再び円高進行が顕著となり株価は下落し始め、7月8日のザラバでは15,000円割れが視野に入りました。

ところが、参議院選挙後、好調な米国雇用統計などもあり再び株式相場は大きく上昇し始め、急落直前の株価を上回るまでに回復しています。

“ポケモノミクス相場”で投資マインドが一気に好転

特に、参議院選挙後のラリー(相場上昇)を牽引したのが、米国でスマホ向けゲーム「ポケモンGO」が好調な任天堂(7974)の株価爆騰です。今回の上昇相場が“ポケモノミクス相場”と称されているのも納得できる大活躍でした。

そのポケモノミクス相場で投資マインドが好転したことに加えて、7月15日には代表的な値嵩株であるファーストリテイリング(9983)がストップ高になる予想外の展開を見せました。また、同日に東証に上場したLINE(3938)の人気も株価上昇を下支えしたと言えましょう。

 

ちなみに、7月15日終値(16,497円)は、6月末の終値(15,575円)との比較で+5.9%上昇、7月8日ザラバ安値(15,106円)との比較では+9.2%上昇となっています。また、7月前半のザラバ高値(16,607円)は、6月末比で+6.6%上昇となっています。

2016年7月後半の注目イベント、注目セクター

7月後半の株式相場は、日米の金融政策と、Q1決算発表が行われる企業業績によって大きく左右される展開となりそうです。

7月最終週は日米の金融政策に注目が集まる

まずは、7月最終週に行われる米国(FOMCは26~27日開催)と日本(日銀金融政策決定会合は28~29日開催)において、どのような金融政策が講じられるのか注目されます。

特に、日銀の金融政策決定会合は、参議院選挙後に政府が景気対策の実施を公言したこともあり、注目度が高い状況に変わりありません。現状維持が基本という見方もあるようですが、今年はサプライズの連続なので、どう転ぶか予断を許さないと思われます。

厳しいQ1決算を「悪材料の一旦出尽くし」と見るかどうか

後半は、金融政策よりもQ1決算(12月決算期企業は上期決算)への関心が高まる可能性があります。一足早くQ1決算を発表した小売セクターは、その決算内容で株価が大きく動きました。

普通に考えれば、このQ1決算は、輸出関連セクターを中心に非常に芳しくない結果が見込まれます。また、Q1決算発表と同時に、通期会社予想の下方修正が続出することも予想されましょう。

問題は、下方修正を含むそうした厳しい決算内容を「さらなる業績下振れ懸念」と見るのか、あるいは、「悪材料は一旦出尽くし」と見るのかです。

両方の可能性がありますが、相場環境が良好な時は後者の場合が少なくありません。現状の相場環境好転を踏まえると、今回、輸出関連企業が下方修正まで一緒に発表すれば、相場を押し上げる材料になる可能性は十分あると言えましょう。警戒心を緩めずに注目したいところです。

“ポケモノミクス相場”の揺り戻しにも注意が必要か

国内は参議院選挙が終了し、政府の景気対策に焦点が移りました。具体策は今後次々に明らかになると思われますが、ポケモノミクス相場で注目外となった出遅れ感のある内需関連銘柄へは、引き続き注目していいでしょう。

最終週の金融政策で為替相場の反転(円安)がいっそう顕著になれば、外需セクターによりフォーカスしたいところですが、決めつけは危険かもしれません。ポケモノミクス相場の“揺り戻し”を考慮すると、小売セクター、医薬品セクター、情報通信セクター等が物色の対象になる可能性も高いと考えられます。

 

LIMO編集部