ところが、コロナ感染による命の危険が高いと言われる高齢者層が、外食の頻度を一気に落としました。また、高齢者を含めた“おひとり様”も外食の頻度を下げています。こうした顧客は、ファミレスにとっては正しく“お得意様”だったわけですから、その影響が大きかったのは容易に想像できます。

一定の需要があった深夜営業も廃止や大幅な縮小傾向に

深夜営業の大幅縮小・廃止も大きな痛手になっている可能性があります。深夜営業の縮小は、コロナ禍の前から徐々に顕著となっており、とりわけ働き方改革による影響も小さくなかったと見られます。

ただ、そうは言っても、一定の需要があったことも事実です。また、筆者が推察するには、深夜営業は相応に利益を出していた可能性もあります。

深夜にファミレスへ行ったことがある方ならお分かりだと思いますが、なぜか深夜メニューは少し割高で、サービス料(概ね10%)も加算されます。さらに、競合相手(主にファストフード)が営業していないパターンが多いため、意外に混んでいました。

しかし、在宅テレワークの定着などで消費者の飲食行動が大きく変わり、深夜営業も縮小を余儀なくされました。すかいらーくグループが深夜営業を「休止」ではなく「廃止」にしたことは、もう深夜営業が成り立たなくなったことを如実に表しています。

ファミレスの役目は終わった?

このように見ていくと、コロナ禍の影響によってファミレスの特徴・アドバンテージは大きく減退したと言わざるを得ません。そして、ファミレスの位置付けも中途半端になりました。いや、誤解を恐れずに言うならば、存在価値そのものが根本的に見直される局面にあるのではないでしょうか。