子供部屋おじさん(Aさんの場合) 

現在51歳になるAさんのひきこもりは、中学2年生の不登校から始まったそうです。当時、クラスに馴染めなかったAさんは、学校の居心地の悪さから逃げたくてしかたなかったといいます。

教室の中は憂鬱で、保健室の中は退屈……最後に救いを求めたのが、自分の部屋でした。誰からも目をつけられず、干渉されず、心穏やかに過ごせるのは部屋の中だけだと感じたAさんは学校へ通うことをやめ、家族以外のやりとりを絶ちました。なんとか中学校は卒業したものの高校への進学はせず、就職もしたことがないまま、ここまできてしまったのだとか。

「私たちが甘やかしたのが悪かったのです」という80代前半の両親は、自身の年金で生計をたてているそうです。外部からの交流をシャットアウトしてしまったAさんには、両親の他に頼る人はいないといいます。Aさん自身も「もし両親がいなくなってしまったら……」と不安を感じているようですが、今さら外に出る勇気がなく、その危機感の中を生きているようでした。