ゴールデンウィーク前から何回か、ヘルプでキッチンや洗い場に入っており、その時には何事もなく業務を行っていました。ですが、そのゴールデンウィーク明けからはキッチンのヘルプに入ると、Yさんが大きなため息をついていたり、『主婦って気楽だよね~』なんて声が聞こえてくるのです。

なんともやるせない気持ちでしたが、そういってくるのはYさんだけで、キッチンやホールの人達含め同調する人が居なかったことが筆者の救いでした。

なぜそんなことを言われてしまうのか、当時の筆者は皆目見当もつきませんでした。勤務時間後、ホール長に話を聞いてもらったこともありましたが「ゴールデンウィーク中にホールが回らなかったということもないし、特にYさんから苦情が出ている訳でもないので。あまり気にしないように」と言われただけだったのです。

その職場は、本当に恵まれた職場だったと思います。色々なことを学ばせて頂きましたし、キッチンのヘルプの時には家庭でも使える「ちょっとした料理の小技」を教えてもらったり。とても楽しく働かせて頂きました。

ですが、Yさんとシフト時間が被った時にはチクチク刺さる言葉の棘に、だんだんと消耗していく自分を感じずにはいられなかったのです。

それは、ある日突然に…

『おはよー♪』とても明るい挨拶を受けてハッとしたのは、紅葉が終わり道端には落ち葉が増え、段々と冬の気配が感じられる頃でした。

その明るい声の主はYさんでした。「おはようございます」と挨拶を返した筆者でしたが、正直にいえば内心驚きを隠せませんでした。その驚きをおおげさに出さないように、なるべく平静を装って返事をしたつもりです。

それ以降、Yさんから続いていた嫌味は影を潜めました。それどころか『お子さん元気?』などと声をかけられることが増えたのです。あまりにも突然のことで、私には訳が分かりませんでしたが、感情を揺さぶられることなく業務にあたることができるようになり、本当に感謝したのでした。