昔のバレエやスポ根少女漫画にあった、シューズの中に画びょうが入っていたり、わざと怪我をさせて試合に出場できないようにしたり。実際にこの様な場面に遭遇したことがある人は少ないかもしれませんが、なぜこのようなことが起きてしまうのかは、想像に容易いのではないでしょうか。

そう、このような行動は、人間の妬み嫉みから起こるものと予想できます。

実は漫画やドラマと言った空想の中だけではなく、実社会にも妬み嫉みによるトラブルは起こり得るものです。今回は、職場における女性の嫉妬に関した、筆者の実体験をお話させて頂きたいと思います。

柱の影から聞こえてきた「来なくていいのに」

息子達が幼少時代、筆者はとある飲食店でアルバイトをしていました。その飲食店の求人内容は「平日日中3~4時間!土日祝日お休みできます!」というもので、子ども達が幼稚園に行っている時間だけの勤務条件に主婦の自分にちょうど良いと思い、応募したのです。

子ども達2人ともが通園するようになり、その時間はぜひ働きにでたいと思っていた筆者。ですが当時、通っていた幼稚園の保育時間は午後3時まで。夏休み・冬休みといった長期休暇期間の預かり保育を行っていません。そうなると、たとえパートといっても、そんな条件にあう働き先をなかなか見つけることができないのです。

そんな時に見つけた好条件の求人募集に早速連絡し、店長と面接することになりました。面接時、ダメ元で正直に「夏休みなどの子ども達の長いお休み期間も、お休みを頂けるならぜひ働きたい」と要望を告げました。そうすると、あっさりOK。無事にパートとして働くこととなったのです。

その飲食店は規模が大きく、学生アルバイトや同じような事情の主婦も雇っていたため、みんながそれぞれの事情を踏まえカバーしながら、シフトを回していました。そして私はホール担当として配属されたのでした。

働き始めて約半年ほど経った時に迎えたゴールデンウィーク。筆者は5日間のお休みを頂いて、久しぶりに出勤しました。ホールに入る前に入念に手洗いをしていると、背後から

『あ~ぁ、いまさら来なくていいのに~』という声が。

「ん?」と思い振り向くと、誰の姿もありません。私の聞き間違いかな?…と思いながら、手洗いを終えてホールに向かおうとすると『なんで来てんの~。目障りなんだけど~』という声が、再び聞こえてきたのです。

再度振り返ったら、壁に隠れようとする半身が見えました。声の主はキッチン担当のYさんでした。

その後も執拗な言葉攻めが続く

その時まで、筆者とYさんに直接的な接点はありませんでした。たまにホールの人間がヘルプでキッチンや洗い場に入ることはありましたが、業務的に直接やり取りすることはあまりなく、その時までお互い顔と名前は一致している…というくらいの認識だったと記憶しています。

ゴールデンウィーク前から何回か、ヘルプでキッチンや洗い場に入っており、その時には何事もなく業務を行っていました。ですが、そのゴールデンウィーク明けからはキッチンのヘルプに入ると、Yさんが大きなため息をついていたり、『主婦って気楽だよね~』なんて声が聞こえてくるのです。

なんともやるせない気持ちでしたが、そういってくるのはYさんだけで、キッチンやホールの人達含め同調する人が居なかったことが筆者の救いでした。

なぜそんなことを言われてしまうのか、当時の筆者は皆目見当もつきませんでした。勤務時間後、ホール長に話を聞いてもらったこともありましたが「ゴールデンウィーク中にホールが回らなかったということもないし、特にYさんから苦情が出ている訳でもないので。あまり気にしないように」と言われただけだったのです。

その職場は、本当に恵まれた職場だったと思います。色々なことを学ばせて頂きましたし、キッチンのヘルプの時には家庭でも使える「ちょっとした料理の小技」を教えてもらったり。とても楽しく働かせて頂きました。

ですが、Yさんとシフト時間が被った時にはチクチク刺さる言葉の棘に、だんだんと消耗していく自分を感じずにはいられなかったのです。

それは、ある日突然に…

『おはよー♪』とても明るい挨拶を受けてハッとしたのは、紅葉が終わり道端には落ち葉が増え、段々と冬の気配が感じられる頃でした。

その明るい声の主はYさんでした。「おはようございます」と挨拶を返した筆者でしたが、正直にいえば内心驚きを隠せませんでした。その驚きをおおげさに出さないように、なるべく平静を装って返事をしたつもりです。

それ以降、Yさんから続いていた嫌味は影を潜めました。それどころか『お子さん元気?』などと声をかけられることが増えたのです。あまりにも突然のことで、私には訳が分かりませんでしたが、感情を揺さぶられることなく業務にあたることができるようになり、本当に感謝したのでした。

そして年も明け、春も近づいてきた頃のある日、当時仲良くしていたキッチン担当のMさんから、Yさんの近況を聞く機会がありました。実はYさんは近々結婚が決まりそうだ…というのです。それでお祝いをどうしようか、というような相談でした。そしてさらに話を聞くと、Yさんに彼氏が出来たのが昨年の秋頃で、お互い30代ということもありとんとん拍子に話が進んだ…というのです。

Yさん自身の私生活が充実し、心の余裕がうまれたことで筆者への嫌味が落ち着いたのかもしれない…と、想像していました。しかし他の主婦パートではなく、なぜ筆者がターゲットになったのか…それはいまだに分かりません。

あくまで筆者の想像ですが、件のゴールデンウィーク休暇を頂く直前に、お店のアイドル時間(中休み時間)を狙って差し入れを持っていったことがありました。滞在時間は5分となく、差し入れだけ置いてお暇させてもらったのですが、子どもを同伴していったのです。

これが引き金だったのかもしれません。子どもを連れて行ったことで、職場に家庭のにおいを持ち込んだことが原因なのかも…と、想像してみたのですが、真相はどうだったのか今となっては知る由もないのでした。

まとめ

誰もが多少なりとも、他人に対する嫉妬を胸の内に抱えているでしょう。しかし、それをあからさまに表面に出すことは、大人として、そして社会人として誇れる行動なのか…と思うのです。

このようなマイナスの感情、筆者自身も当然心に溜まってしまうことはありますし、対処に苦慮する場面も多々あります。ですが、自分なりに上手に向き合い対応していく術を身に付けたいと思っています。

もしYさんと再びお会いすることがあれば、お互い笑顔で挨拶を交わしたい…そう願っています。

白藤 さつき