夫が在宅勤務になり、嫌なところが目に付き始めた

子どもも小学生になり、一見平和な日々を送っていたSさん夫婦。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行により、再び暗雲が立ち込めることになります。

Sさんは話します。「まず、子どもの休校が決まりました。次に夫が在宅勤務に切り替わりました。週1のみ事務作業のための出社はしますが、基本的にはずっと家での作業です。私は、週でパートに出ていましたが、勤務先が飲食店だったので、最終的には自宅待機になりました。その頃からですね。夫の行動にイライラが募るようになったのは…。」

まず気に障ったのは家事の分担。いつもは夫の出勤時にゴミをだしてもらっていたのですが、在宅勤務になってから、夫は当たり前のようにゴミをもっていかなくなりました。Sさんは、他の家事で手が離せないため、夫に「ちょっとだけ外に出て、持っていってほしい」とお願いするのですが、「あれはついでにしていただけ。君は今、仕事が休みなんだから、自分の仕事は自分でやりなよ。」と全くやろうとしません。朝食を食べたら、部屋に入って仕事を始めます。Sさんは、仕方なく他の家事の手を止めて、収集時間に間に合うように、近所のゴミ集積場に向かいます。

昼食時にもイラっとする瞬間があります。昼時になると「ご飯できてる?」と言いながら、夫が部屋から出てくるのですが、Sさんも、毎日いろんな用事があります。12時きっかりに、昼食を用意することができないときもあるのですが、昼食の準備ができていないと、夫は「仕事、休みなんでしょ。一体何が忙しかったの?」と、心底不思議そうに聞いてくるのです。どうやら、Sさんの夫にとって、家にいる妻は暇な人という認識のよう。

また、家にいると目につくのでしょう。洗濯や掃除にも、何かしらの指摘が入るようになりました。「洗濯物をたたんでないよ。」「ここ汚れてるよ。」言われるたびにSさんは、ちょっとだけむっとします。でも、子どものこともありますし、けんかになって雰囲気が悪くなるのだけは避けたい。だから、夫から嫌な指摘を聞かなくて済むように、家事はすべて自分がやり、夫の生活に合わせて食事を用意し、夫の指摘がはいりそうな家事は先回りしてやってしまうようになりました。

「夫が指摘したとおりにしていれば、夫も何も言わないんです。たぶん共に暮らすパートナーとして、アドバイスをしているだけのつもりなんでしょうね。でも、ただでさえ外出自粛や自宅待機という状態に参っているのに、あれやっておかないと何か言われる、これやっておかないと何か言われると考えながら、毎日過ごすのに疲れてしまって…。」