もちろんドラえもんはマンガですから、のび太とママの間に起きる無限ループを笑って見ていられます。しかし、もしこれが現実世界で、仮にお隣の家から毎日のようにこんなやり取りが聞こえてきたらどう思うでしょうか?

「親は『勉強しなさい!』と怒っておけば良い、と思っている」「怒っておきさえすれば、自分は親の役目をはたしている」ように見えますし、「子どもが勉強をするようになる具体的な援助をしていないのでは?」という疑問が湧くかもしれません。そして我が身を振り返ってみると、同じようなことをしている可能性もあります。

こうしたときに大切なのは怒って言うことを聞かせるのではなく、子どもが勉強する習慣作りができるように、親子で一緒に試行錯誤していくことなのでしょう。

また、「怒って言うことを聞かせる」のではその場限りですし、根本的な解決にはなりません。親子の距離を縮めすぎると「親は子どもを支配できる」という勘違いをしやすく、子どもの方もそれを感じ取り、本来あるべき信頼関係を築くことが難しくなるでしょう。

親に怒られた子どもは、反発するか、責任転嫁をするなどしてうまく逃れる方法を考えるか、逆に言うことを聞き続けて親の言う通りのことしかできない「指示待ち」になってしまうかもしれません。

子どものときに身についたことは、大人になっても続くものです。支配関係の中で育ってしまうと、相手を支配したり、執着や依存をしたり、マウントやモラハラの加害者や被害者になることもあるでしょう。怒って言うことを聞かせたり、子どものことを何でも決めるような支配は、やるのは簡単ですがリスクが大きいものです。