今後の投資について、いかに考えるべきか

今後の展望(シナリオ)を描くに際し、経済状況の不透明性が高いことは否めない。新型コロナウイルスの再度の感染拡大懸念が残るなかで経済活動を再開することの難しさや、景気支援策が景気回復が求められる段階で期待されているほどの効果を発揮しないリスクがある。

景気の先行きに関するコンセンサス予想が一段と下方修正される余地があることから、HSBC投信のグローバル・マルチアセット・ポートフォリオではリスク資産に対して短期的・戦術的には慎重なスタンスをとる。

しかし、これまでの各国の政策支援によって、経済が極めて深刻な状況に至るリスクは抑えられている。このため、長期的な戦略的視点で投資を行う投資家は、バリュエーションが魅力的な資産クラスに投資することにより、その恩恵を受けることが可能と考える。

長期的な投資戦略の一環としてグローバル株式をオーバーウェイトとすることは妥当と見ている。HSBC投信が推計するグローバル株式のバリュエーションは今年に入って大きく改善しており、加えて各国当局の大規模な政策支援の実施により、経済が恐慌などの深刻な事態に陥る確率は低下した。従って、今後、株式市場が値を下げる場面は、株式へ投資する好機になるとHSBC投信では考えている。特にディフェンシブセクターの魅力が高い。

先進国(DM)国債については、利回りが非常に低く良好な投資収益が期待できないため、HSBC投信はアンダーウェイトのスタンスをとる。なお、ポートフォリオの分散の観点からも、これらの資産が充分に分散機能を果たすかどうかは不透明である。

現在、世界の主要国の経済支援策に、中央銀行による巨額の社債の購入が含まれている。これがHSBC投信が投資適格社債に対して中立的スタンスをとる1つの理由である(注:6月に投資適格社債に対する投資スタンスをオーバーウェイトに引き上げた)。よりリスクの高いハイ・イールド社債も、中央銀行の資産購入策の支援を受けていることに加えて、バリュエーションが非常に魅力的であることから、当社ではオーバーウェイトを維持する。

最後に、新興国(EM)資産の一部については、新興国では依然新型コロナウイルス感染拡大のリスクが高いこと、相対バリュエーションがあまり魅力的でないことから、強気のスタンスをとらない。特にアジア以外の新興国については、医療システムが十分に整備されているとはいえないこと、コモディティ価格が下落していることなどから、新型感染症の急拡大に際して危機対応能力が限られているとHSBC投信では考えている。

一方、アジアの新興国市場は、中国経済の回復から恩恵を受ける余地が大きく、また他の地域の新興国市場に比べて、グローバル投資家のセンチメントが悪化した場合の悪影響を受けにくいということも注目点である。