彼らは、不況による失業という問題をあまり深刻に考えない傾向があります。失業している人だって、いつまでも失業しているわけではなく、「給料は安くても仕方ないから働きたい」と考えて仕事を探すだろうから、失業者は放っておいても減るのだ、と考えているようです。

それに対して筆者等は「景気は悪化を始めると様々な悪循環に陥るから、政府が景気対策をしっかり実施して失業者を減らさなくてはならない」と考えています。

筆者に言わせれば、ゾンビ企業の淘汰は好況期に行われるべきです。というよりも、好況期になればゾンビ企業は自然と淘汰されるでしょう。

景気が良くて労働力が不足して来ると、賃金が上がります。そうなると、高い賃金の払えない非効率な企業は倒産するか、従業員が転職していって縮小していくか、ということになるわけですから。

したがって、不況期にはゾンビ企業が雇用を守り、好況期に守って来た労働者を「放出」することで、調整弁の役割が担える、というわけですね。

今回の筆者の提案は、これを政府が積極的に行う、というものです。不況期にはゾンビ企業を支援して雇用を守り、労働力不足になった時点で支援を打ち切ってゾンビ企業を倒産させ、労働力を市場に提供する、というわけですね。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義