筆者は、その必要がある、と考えています。一つには、支援すべき企業の選別に時間がかかり、その間に倒産してしまう企業が出ることを恐れるからです。支援を求めるすべての企業に支援することで、多くの企業が救えるならば、支援先の中に支援すべきでない企業が含まれていたとしても、それはコストでしょう。

もう一つには、より積極的に「再建が困難な企業も不況期には原則として支援すべき」と考えているからです。その理由は以下の通りです。

景気が回復してから倒産する方が遥かに良いから

景気が悪い時には、たとえゾンビ企業であっても、労働者を雇用していてくれるだけで大変ありがたい存在ですから、1日でも長く延命させることには大きな意味があるでしょう。

企業の再建は無理でも、まだ使える設備機械があるならば、それが壊れるまで生産活動を続けてもらうことが日本経済のためになるはずです。

景気が悪化している時に倒産する企業があると、上記のように様々な悪影響が生じ、景気の悪化がさらなる景気の悪化を招く悪循環に陥りかねませんが、景気が良い時に倒産があっても、悪循環は生じにくいでしょう。

生産が増え、雇用が増え、消費が増えている時に倒産する企業があっても、失業した労働者はすぐに次の仕事を見つけることができるでしょうし、銀行も自己資本比率規制による貸し渋りをする必要はないでしょう。